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ニューヨークで中小企業や公共交通を救うため、オンラインショッピング取引を対象とした新しい税金が導入される可能性が出てきた。
今年最大のショッピングシーズンである今の時期は、オンラインショッピングにとっても最大のピーク。アマゾンやウォルマートなどの大手企業が、昨年に引き続き好調だ。さらに、新型コロナウイルスの大流行が、もともと安定していたビジネスモデルを急激に後押している。しかし、オンラインで何かを注文するたびに、追加料金を支払わなければならなかったらどうなるのだろうか。
ニューヨーク州では、オンラインショッピングの注文1件当たり3ドル(約312円)の注文手数料を課す法案が審議中だ。この法案は、ブルックリンの州議会議員であるロバート・キャロルが提案したもので、より多くの消費者に地元での買い物を促すのが狙い。
キャロルは「この法案は、人々が地元で買い物をするように促し、それを奨励するものです。また、配送にはコストがかかり、トラックによる輸送が必要。近所でも毎日配送車を見ますし、大量のダンボールとプラスチックを消費しているのです。そういったことを認識してもらう機会にもなります」と述べている。
ニューヨーク市では、毎日推定180万個の小包が配達されている。新しい法案ではそのうち、生活必需品ではない商品に対して追加料金が上乗せされることになり、食品、医薬品、おむつは対象外となる。
この追加料金は、ニューヨーク市民が地元の小さな商店で買い物をすることを奨励するものだが、街の象徴であり観光名所であるブルーミングデールズやメーシーズのような大型小売店も、今年は客足が大幅に減少したため、この法案の恩恵を受ける可能性がある。
ニューヨークではこの半年間だけでも、フィナンシャル・ディストリクトのセンチュリー21やハドソンヤードのニーマン・マーカスなど主要な店が、観光客や通勤客が減少したことによる営業不振で閉店したのを目の当たりにしてきた。
キャロルは、さらにこの法案は小売業者の支援するだけでなく、得られた収入によって苦境にあるニューヨーク州都市交通局(MTA)を救済できると示唆。ニューヨーク州が今年の膨大な予算不足を解決するためにも、オンラインショッピングを考慮に入れるべきだと指摘している。この法案が実現すれば、年間10億ドル(約1,042億円)以上が調達できる見込みで、「ニューヨーク市のバスや地下鉄の運営費を賄うことができる」と述べている。
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