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現代の高層ビル開発といえば、最近シドニーの風景に加わったバランガルーにあるクラウンリゾートタワー(Crown Resorts Tower)のような、コンクリートと鉄、ガラスでできた建物を思い浮かべるだろう。しかし、今年後半から工事に入る予定の建築プロジェクトが、こうした高層ビルにありがちな建築的な前提を変えようとしている。
セントラル駅に隣接する、新しいIT地区の中心に建設予定のこのビルは、完成すれば世界で最も高い木質ハイブリッド構造の建造物となる。さらに、1973年に建てられたヨーン・ウッツォン設計によるオペラハウス以来、シドニーにおける最も美しい建物の一つになるだろうとの意見も出ている。
このビルは高さ180メートルで40階建て。完成は2025年の予定で、オーストラリアのソフトウェア会社、アトラシアン(Atlassian)の新本社となる。設計を担当するのは、ニューヨークを拠点とするSHoPアーキテクツ(SHoP Architects)。場所は、レイルウェイ・スクエアの隣で、1912年に小包倉庫として建てられた歴史的建物が残る区画だ。
新しいビルのデザインはこの建物と調和が取られたものとなり、現在テナントとして入居するYHA(ユースホステル)は同ビルへ移転する。YHAのためにゼロからデザインされた空間に泊まれるのは、バックパッカーにとって良いニュースだろう。
新本社ビルに環境に配慮した材料を使用するというアトラシアン社の決断は、2050年までに100%ゼロエミッションと再生可能エネルギーの達成を目指している、同社の取り組みの一部だ。建物の外観にはソーラーパネルが組み込まれ、機能的なひな壇式庭園が設けられる。
庭園は、断熱効果や風通しの良さを生み、ジョージ・ストリートやブロードウェイの交通渋滞がもたらす汚染物質の除去にも役立つ。内装にはデザインされた植栽が置かれ、典型的なオフィス環境を、緑豊かで、穏やかで、温かみを残した都会的な空間へと変えている。4000人の従業員が働くこのビルの運営に必要なエネルギーは、鋼鉄やコンクリートの建物より50%も少なくなる見込みだ。
建設プロジェクトは、十分に活用されていないセントラル駅東側地区の大規模再開発の中心となる。24ヘクタールにわたり駅周辺に広がるウルティモとレッドファーンにあるこのエリアは、テック・セントラルと名付けられた。
新しいIT地区として、オーストラリアのテクノロジー産業のための新たな商業ハブを目指すテック・セントラルの計画には、公共交通機関や緑地の拡充、いくつもの建設プロジェクトが含まれている。
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