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コロナ禍生まれの受賞作品、ピクセルアートコンテストがつないだバトン

表彰式レポート、他国の受賞者はZOOMで集う

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Genya Aoki
シブヤピクセルアート2020
シブヤピクセルアート2020ヒカリエ会場
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「ピクセルアートのコンテストを今年も継続する理由は、コロナ禍の中でアーティストを勇気付けたいというところが一番大きかった」

シブヤピクセルアート実行委員会の坂口元邦が、表彰式の総評の中で語った一言だ。2020年9月26日、渋谷ヒカリエ 8/COURTで今年で4年目となる『ピクセルアートコンテスト2020』の表彰式が開かれた。

同コンテストは、コンピューターやゲームで見られる描写であるドット絵から変異したピクセルアートの大会で、世界最大級の規模となる。今年は682点の応募作品の中から特に優秀だった19作品が選ばれた。

会場には、特別審査員として昨年の最優秀賞受賞者のm7kenjiが参加。ピクセルアート界のレジェンドeBoyも審査員としてZoomで参戦した。コロナ対策のため、オフライン会場のほか、渋谷区公認VR空間「バーチャル渋谷」と公式YouTubeチャンネルでのライブ中継を実施。多くの人が新しい生活様式で作られたイベントを楽しんだ。

今年のコンテスト応募点数は、新型コロナウイルスの影響もあり昨年に比べて減少したが、海外からも多くの応募があり、受賞者や審査員コメントからも年々クオリティーが上昇していることがうかがわれた。

本大会には、小さなドラマがいくつも積み上げられている。コロナ禍での開催決行に至る葛藤もその一つだ。坂口は同コンテストを継続開催する根本的な理由をスタッフと話し合い、たどり着いた一つの答えが「コロナ禍のアーティストを勇気づけたい」という思いだった。新型コロナウイルス感染症まん延真っただ中の5月『ピクセルアートコンテスト2020』は、こうした思いとともにスタートしたのだ。

シブヤピクセルアート2020
最優秀賞を受賞したmae

今年最優秀賞を受賞したmaeによる『BIRTHDAY』という作品には、コロナ禍など社会で渦巻いているさまざまな不安の中で希望を与えたいという思いが込もってる。「課題テーマの一つである「人間らしさ」にフォーカスし、街を力いっぱい走り回るうれしさ、落ちてくる花びらの美しさ、そういった小さな幸せを改めて拾い直して集めた」と、受賞コメントでmaeは語っていた。

和紙ますくMeiMei
和紙ますくMeiMei ×ヘルミッペ(hermippe)渋谷のアイウェアショップ sunsで販売中


また、優秀賞を受賞したピクセルアーティスト、ヘルミッペは「10年前にeBoyの作品に出会ってから、この世界に足を踏み入れた。こうして当人から評価してもらえてとてもうれしい」とコメントを残した。通算3度目の受賞で、今年はさらに和紙ますく『MeiMei』と特別コラボも展開している。

シブヤピクセルアート
スペインからZoomで参加したRaquel Meyers

ほかにも、初応募でYUZUTOWN特別賞を受賞したsanaenvyや、スペインから参加したRaquel Meyersなど、多彩な顔ぶれが並んだ。Zoomを活用して、外国にいる受賞者や審査員もリアルタイムで表彰式に参加したことで、世界規模の大会であることが従来より印象的だったのも今年ならではだろう。こうして多くの困難のなか開かれたピクセルアートコンテストは、今年も新たな方向性を指し示す多くの作品を生み出し、無事幕を下ろした。

10月末まで継続開催に向けクラウドファンディングを展開しているので、ぜひのぞいてみてほしい。リターンには、アーティストコレクションブックや過去出展作品などを入手できる。

シブヤピクセルアート2020の詳細情報はこちら

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