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現在、ニューヨーク市を含む世界中のアート展示会場が、新型コロナウイルスの感染対策のため閉鎖中だ。しかしいくつかのアートギャラリーでは、閉鎖期間に開催予定であった展示作品のオンラインビューイングが始まっている。展示会場に行き作品を前にした鑑賞体験は叶わないが、オンラインの鑑賞旅行に訪れてみるのも悪くはないかもしれない。
ニューヨークにあるギャラリーのウェブサイトでは、作品をより深く掘り下げたり、ウェブ用に特別にキュレーションした展示を提供するオンラインルームが作成されており、オンラインビューイングで作品や展示の魅力を伝えることがギャラリーの狙いだ。展示コレクションのバーチャルツアーの提供は、現在ほかの美術館や別の都市のアートスペースでも行われている。
またアーティストや批評家も自らで企画を立ち上げ始め、特定のギャラリーと組むことなく催されているオンラインの展覧会もある。ここでは、トレンドの例をいくつか紹介しよう。
デイヴィッド・ツヴィルナー・ギャラリー
デイヴィッド・ツヴィルナー・ギャラリー(David Zwirner Gallery)は、アート業界最大のプレーヤーの一人が運営している。そのため美術館のクオリティーと、ほぼ同等のビューイングルームを備えたオンラインリソースを持っているのは不思議なことではない。サイトではキャプションが付いた展示のビデオや画像を見ることができる。現在開催されているのは、60年代のカウンターカルチャーに影響を受けたアーティスト、ジェームス・ウェリングによるサイケデリックな写真展『James Welling:Pathological Color』だ。
ペース・ギャラリー
この大きなギャラリーの公式サイトでは、ベテランのカラーフィールドペインターであり、叙情的な抽象主義者であるサム・ギリアムの水彩画を含む展示を開催。美術館クオリティーの体験をオンラインで提供するという点で、デヴィッド・ツヴィルナー・ギャラリーを追従している。
ガゴシアン・ギャラリー
ガゴシアン・ギャラリー(GAGOSIAN Gallery)は世界中に18カ所のスペースを持つ、言わずと知れた有名なアートギャラリーだ。オンラインビューイングルームからは、その全てをバーチャルに訪問することができる。現在はニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、パリ、ローマの展示が閲覧可能だ。
ニュー・ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アート
ニュー・ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アート(
Artsy
アートニュースやオークションの便利なウェブサイト、Artsyもキューレーションされたオンラインビューイングルームを公開中だ。現在Artsyは、国際女性デーを強化する月間に向けて敬意を表し、著名な女性アーティストたちによって選ばれた女性アーティストの展示をシリーズで行っている。
How Can We Think of Art at a Time Like This?
作家であるバーバラ・ポラックと、キュレーターであり作家、またアーティストエージェントでもあるアン・ヴァーハレンがキュレーションした「How Can We Think of Art at a Time Like This?」(このような時、アートをどう考えるか?)。彼らは、自らを「壁のない展覧会」また「危機の時代における自由な表現のためのプラットフォーム」と称している。
同展のザオ・ザオ、ケーテ・バークハート、ジュディス・バーンスタインらのアーティストによる作品は、はっきりとコロナウイルスを取り上げたものではないが、パンデミックが引き起こしている文化的変化について刺激的な社会批評を提示している。
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