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新型コロナウイルスの感染が広がり相次ぐのは、音楽や演劇などさまざまなカルチャーイベントの中止。大人数が集まる環境に対する自粛の動きが生まれ、運営側が苦渋の決断を迫られる状況が増えつつある。
そういった流れの中、イベントの延期を決意したアーティストやイベンター、プロモーターなどを救済する、とある企業の対応が注目されている。
イベントキャンセル費用を最大全額一時負担
ペイノア社は、新型コロナウイルスの感染拡大によって、イベントの中止と延期をするアーティストに対し、無償サポートの開始を発表した。
そもそもペイノアが提供するサービスPayNOAHは、アーティストやコンテンツホルダーが申請できる経済産業省のコンテンツグローバル需要創出等促進事業費補助金(J-LOD)や、国際交流基金などを対象とし、本来は渡航後にもらえる補助金を一部前払いをする、というものだ。
今回「臨時対応」として発表したサポートの主な内容は、イベントのキャンセルによって発生する費用を、振替開催までの期間、無償で一時負担するというもの。
サポートの対象者は、2020年2月15日以降のイベントがキャンセルになったアーティストやイベンター、プロモーターなど。キャンセルの経緯や、キャンセルによって発生した費用などが書面で証明でき、かつペイノアの審査を通過した場合、費用の最大全額を無償で一時負担してもらえるサポートが受けられる。
イベントの規模が大きいほど、可能性あり?
支援を受けるための審査基準の一つにあがっているのは、将来行われる振替イベントで発生する売上予想金額。大掛かりなイベントを組み、集客がある程度見込めていた場合ほど、審査を通過する可能性は高くなりそうだ。
具体的な金額のボーダーラインは明示されていないものの、今回の条件の一つに「次回振替イベントの開催をペイノア主催とし、イベント会場と契約締結ができる場合」とある。振替イベントが開催された際、その売上がペイノアに支払われる、という点に留意せねばならないが、キャンセルによって大きな損失を被るリスクもある中、一つの選択肢として検討の余地はあるだろう。
ウイルスからカルチャーシーンを守るために
音楽に限らず、イベントを中止するということは、運営に大きな打撃を与える。会場費のみならず、当日の運営スタッフによる人件費や設営費、もしくは当日販売するはずだった商品の在庫など、莫大な費用が発生する。何より、実現に向け進めてきた計画が白紙に戻ってしまうことほど、心苦しいことはないだろう。
ウイルスの収束後、さらにはそれ以降のさまざまなシーンの発展に期待したいからこそ、苦渋の決断を迫られた主催側には、こういったサービスも一つの生き残る手段として捉えてもらいたい。
なお、発表された受付期間は2020年3月31日(火)までだが、新型コロナウイルスの収束状況を踏まえた延長も検討しているという。
応募方法は、PayNOAHのエントリーフォームから。内容欄に新型コロナウイルス対応の支援希望である旨を記入することで申し込みが可能だ。
テキスト:高木 望
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