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おしゃれフードコート? 人気店を集めたセントラルキッチンが日本橋に誕生

ピザにタコス、クラフトビールも、話題の新スポットCOMMISSARYをレポート

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Shiori Kotaki
Commissary Nihonbashi
Photo: Keisuke TanigawaCommissary Nihonbashi
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日本橋に突如現れたカミサリー(COMMISSARY)という空間を知っているだろうか。ほんのり漂ってくるピザの香りに、壁には「PIZZA」「TACOS」「BAKERY」「BEER」「COFFEE」というそそられるワード。なんだかお腹が空いてきてしまった人は、迷わず店内に入ってみよう。ここは、こだわりの味を提供する五つのヴェニューのセントラルキッチン。ファクトリーとしての役割がメインではあるが、出来たてのフードやドリンクをイートインやテイクアウトで、ほかの店舗よりやや安価に味わうこともできるのだ。

カミサリー
Photo: Keisuke Tanigawa


まずは、同施設に入居している五つの店舗を紹介する。

ピザ スライス カミサリー(営業時間は11時30分〜22時)

ピザ スライス カミサリー
Photo: Keisuke Tanigawa


ニューヨークスタイルのピザを提供する人気店、ピザ スライスのファクトリー。ここでは、冷凍ピザなどの製造のほか、店頭では『チーズスライス』や『ミックススライス』『ペパロニスライス』といった焼きたてのピザを一切れ390円から販売している。

かつて、「その店でピザを食べるという体験自体を楽しんでほしい」と話していたオーナーの猿丸浩基。カミサリーの店舗については、「フードコートは、通常トラフィックがあるところに作られることが多いんです。だから、こういった規模感のフードコートを日本でやることはなかなかない。ここは、ファクトリーというコンセプトでやっているので成り立っていますが、この海外のような雰囲気も含めて、珍しいフードコート体験をしてほしいです」とコメント。代官山や表参道、六本木にも店を構えるが、ほかの店舗とはまた違った「ピザを食べる」体験ができる一軒だ。

キタデ タコス(営業時間は11時30分〜22時)

キタデ タコス
Photo: Keisuke Tanigawa


化学調味料や遺伝子組み換え作物を使用しないタコスを提供するキタデ タコス。ここは、北海道産トウモロコシ100%で作る、自慢のトルティーヤを製造するファクトリーだ。2020年8月3日、グランスタ東京にオープンした店舗でも、この工場で作られたトルティーヤが提供されている。

店主の北出茂雄がこのトウモロコシを使い出したのは今から3、4年前のこと。以前はアメリカ産のものを使っていたが、国内産に切り替えたいと考えていた時に、田畑を耕さずに作物を栽培する緑肥栽培で育った、北海道産の飼料用トウモロコシに出合った。そのほとんどが、飼料や菓子の原料に使われていたが、トルティーヤを作ってみたところ北出のイメージと見事にフィット。それ以来、ずっとこのトウモロコシを使っているのだという。

もちろん、店頭ではタコスも提供しており、『チキンティンガ』『ポークカルニタス』『ビーフスワデロ』『チポトレシュリンプ』の4種類を一つ395円で用意。14時30分までのランチタイムには、チキン、ポーク、ビーフの定番三種類がセットになったお得な『タコスセット 自家製チップス付き』(1,100円)もある。焼きたてならではの香ばしさを堪能できるのもファクトリーならではだ。

チガヤ ベーカリー(営業時間は9〜20時)

チガヤ ベーカリー
Photo: Keisuke Tanigawa


辻堂や蔵前にも店舗を持つ人気のベーカリー。このファクトリーでは、国産の小麦粉を使用したパンやドーナツを卸売用に製造しているほか、食パンやフランスパン、『アンバターサンド』『ベーコンマヨロール』など、種類豊富なパンやドーナツを店頭でも販売している。

いちおしは、揚げたてのドーナツ。店のオープン時間から、随時揚げたてのドーナツを提供しているので、ぜひ自家製のチャイティーとともに味わってほしい。もし、タイミングが合わず、揚げたてのドーナツに出合えなかった場合も心配は無用。イートイン用のパンやドーナツは、いつでも一番美味しい状態にリベイクして提供されているのだ。

今後は、季節の果物を使ったパンやフルーツサンドなど、季節限定のものも提供していくようなので、こちらも楽しみ。かつてはスタイリストとして働き、独学でパン作りを学んだという店主の仲山ちがやは、「この店舗は、ニューヨークに住んでいた頃に大好きで通っていた老舗のドーナツ屋をイメージしました」と話す。このかわいらしい店構えもぜひチェックしてほしい。

アワー クラフト(営業時間は11時30分〜22時)

アワー クラフト
Photo: Keisuke Tanigawa

ビール好きの下田和幸が一念発起して誕生させたクラフトビールの醸造所。フレッシュなビールが楽しめるのもファクトリーならではだ。

直近までは、日本橋富沢町にあるクラフトビール専門店、ニホンバシ ブルワリーに在籍していたという下田。レシピは、下田が知り合いのブルワーらとも相談しながら考えているのだそう。タップ数は7で、いろいろと試してみたい人には、小さめのグラスで3種類のビールを飲み比べられる『選べるBeer Flights』(1,100円)がおすすめだ。フレーバーの説明が書かれたシートがもらえるので、それを読みながら味わえば、そのビールへの理解もより深められることだろう。

今後は、麦汁や熟成する前の「若ビール」を提供する機会を設けたりと、工場だからこそできるビールの楽しみ方を提案していく予定だ。

マインド スパ(営業時間は9〜19時)

マインド スパ
Photo: Keisuke Tanigawa

奥原宿にあるコーヒースタンド、ホテル ドラッグスの姉妹店。同店は、ここで唯一ファクトリーとしての役割を持たない店ではあるが、カミサリーを訪れる人はもちろん、ここで働く人の憩いの場として多くの人から愛されている。

ホテル ドラッグスの名物店主、ナタリーが店に立つことは少ない。しかし、ここにはホテル ドラッグスに通い詰め、ホテルドラッグスイズムを継承するスタッフが常駐。皆とてもフレンドリーなので、あいさつを交わしたり、おすすめのドリンクを尋ねたりと、気軽に会話を楽しめるアットホームな雰囲気が魅力だ。

カミサリー
Photo: Keisuke Tanigawa


カルチャー色の強いヴェニューが集ったカミサリーは、つい長居してしまう緩い空気が流れ、若い世代にもフィットするような雰囲気だ。ピザ スライスオーナーの猿丸は、「ここが若い世代の入り口になったら」と話す。

「ここに入っている店舗で提供しているものは、お金がない若い人でも購入できるものばかりです。安価でも本当においしいものを食べて、その後は近隣を散歩して日本橋ならではの歴史や文化に触れる。『本物』を感じてもらえたらいいなと思います。

また、この五つの店舗は、もうけを意識するよりも、やりたいことを実現しているような個人店。大手よりも生き残るのが厳しい部分もありますが、こうやって皆で何かをやることに可能性を感じてもらえたらうれしいし、自分たちの色を出せる場所として、東東京には可能性を感じているんです。このエリアで新しいチャレンジをしていく人も増えていくと思うし、カミサリーも若い世代の人が活躍して、新しいカルチャーを生む『入り口』になったらいいですね」

カミサリー
Photo: Keisuke Tanigawa


若者文化の発信地といえば、渋谷、原宿、下北沢など、西側のエリアを思い浮かべる人も多いと思うが、これからはさらに東東京が面白くなっていく予感。猿丸は、「人があふれる渋谷や原宿では、人に話しかける機会も少ない。でも、そうでないこの場所だと、仲良くなれそう、面白そうと思った人に声をかけやすい。渋谷や原宿では生まれない自然発生的なコミュニケーションも生まれる場所だと思います」とも話す。

カミサリーは、おいしいフードが作られる、食べられるといった域を超え、新しいカルチャーやコミュニティーまでもが生まれていきそうな、全く新しい食空間。じわじわと注目を集めるカミサリーにぜひ足を運んでみてほしい。

カミサリーの詳しい情報はこちら

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