世界的に見ても評価の高い日本の包丁の三大産地といえば、岐阜県関市、新潟県三条市、そして大阪府堺市。プロ用和包丁のシェアを90%以上を占める「堺包丁」を広めることに尽力しているのが、千日前道具屋筋商店街にある「堺一文字光秀」だ。
1953年創業、老舗の多い「道具屋筋」の中でもとりわけ威厳を保った店構えをしている。扱うのは同社オリジナル製品が中心で、ブランド名である「堺一文字光秀」の堂々たる看板の下、店内には2000種類もの包丁が並ぶ。
堺包丁の最大の特長は、ほかとは一線を画する切れ味。「生産性を犠牲にしてでも切れ味を追求したいと、現在も職人の分業制が貫かれているんです」と3代目当主が力強く語る。家業を継ぐ前に働いていた広告業界での経験を生かし、堺包丁の伝統継承に取り組んでいる。
例えば公式ウェブサイトでは、包丁そのものについての造詣を深められる読み物を充実させている。またケアが難しいといわれる鋼の包丁だが、メンテナンス方法の丁寧な解説ページはなんと6カ国語対応だ。少々ハードルが高く感じられるかもしれないが、家庭の味も包丁で変わる。来阪を機に、職人の手で生み出された一本の包丁と一生をともにしてみては。