東京で唯一の「小鹿田焼(おんたやき)」専門店。小鹿田焼とは、日本の原風景が残る大分県日田市の最北部、源栄町皿山で作られている焼き物で、民藝運動をけん引した思想家・柳宗悦に「世界一の民陶」とも絶賛された。同店では現存する9つ全ての窯元の陶器を扱っている。
現在も江戸時代から変わらぬ技法で作られており、一子相伝という形で受け継がれてきたその技術は国の重要無形文化財にも指定されている。原土の採取や乾燥など、土を作るところから手作業で行われており、その工程一つ一つにも独自のアイデアがあるのだそうだ。
自然の鉱物から作られた釉薬(ゆうやく)ならではの柔らかな色合いや、飛びカンナや刷毛目(はけめ)といった技法で入れる模様など、その特徴はいろいろとあるが、やはり最大の小鹿田焼らしさは「民衆の器」であること。どれも驚くほど手に取りやすい価格であることに加え、素朴なデザインの器はどんな料理も引き立ててくれる。まさに私たちの暮らしにそっと寄り添ってくれる器といえるだろう。
金〜火曜日の18時30分からは「酒と肴 ソノモノ」として営業し、小鹿田焼はもちろんのこと、店主がコレクションした器で季節のおいしい料理を楽しむことができる。仕入れや出張時は休みとなるので、訪れる際はInstagramをチェックしてほしい。アルコールを楽しむ際は、ここが器の店であることを決して忘れずに。