水天宮前駅と人形町駅の中程にある和菓子の老舗。焼き芋の形を模した銘菓『黄金芋(こがねいも)』を中心に取り扱い、店の前に立つと、ニッキの良い香りが我々を迎え入れてくれる。『黄金芋』は、実際には芋は使われておらず、白いんげん豆の白餡に、卵の黄身を加えた黄身餡を薄皮で包み、金串を通して高温で丸焼にした菓子。表面にたっぷりとまぶされたニッキの風味が、上品さを際立てている。『黄金芋』が誕生したのは、明治30年代後半のこと。黄身餡が貴重とされていた当時から現在に至るまで、変わらずにこの味を提供している。
個数に応じて、紙袋や箱など、複数の選択肢が用意されているが、手土産にするならば、やはり竹皮でできた「お篭入り」という入れ物がおすすめ。蓋にかぶせてあるのは、赤、緑、黄色で黄金芋が描かれたかけ紙で、伝統的な日本らしさと、親しみやすい可愛らしさが感じられる秀逸なデザインだ。また、篭自体を包んでいる、水色の包装紙とマゼンタの紐という色合わせも、心をくすぐる美しさである。手みやげとして人気で、著名人にもファンが多い。
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