かつて鴨川の土手があった縄手通り付近は、古美術店が多い場所。古書店の「ブックス アンド シングス(Book's&Things」」は、縄手通りから伸びる長家の一角にある。路地裏の隠れ家というにふさわしく、住居が店舗になった。
誰かの家を訪ねるのと同じようにチャイムを押して店内に入ると、上り框(かまち)があるので、履物を脱いで畳の間へと進もう。京間2畳と4畳半の壁には、びっしりと大判の背表紙が並ぶ。多くは、洋書の写真集やアート関連の書籍だ。店主が海外で買い求めた貴重なものもある。ポスターや写真家のプリント作品なども販売している。
600冊という蔵書数は古書店としてはけっして多くはないが、保存状態や陳列の仕方などから一冊一冊に店主の目が行き届いていることを感じさせられるはずだ。店主に好きな本について相談してみるのもいい。一期一会の書との出合い、古今の思わぬ「世界」とのつながりを楽しめるだろう。