日本とヨーロッパを行き来し、聖書や神話に着想を得た幻想画が国内外で評価されてきた画家・横尾龍彦(1928–2015)。日本の美術館では初開催となる回顧展が「神奈川県立近代美術館」で開催中だ。
横尾は福岡市に生まれ、東京美術学校(現・東京藝術大学)日本画科を卒業後、油彩画に転向。1965年からヨーロッパ各国と日本で個展を多数開催する。拠点をドイツに設けた1980年以降は、ルドルフ・シュタイナーや禅の思想に影響を受け、制作に瞑想を取り入れ、書に通じる抽象画へと画風が変化していった。
今回は、国内のアトリエに遺された作品を中心に、各時期の代表作や、小説の挿絵、教会から依頼されて制作した聖像彫刻など、絵画制作以外の創作活動も網羅した貴重な機会だ。