2003年開館の美術館、図書館などを備えた複合施設。建物設計は磯崎新が担当し、通称「YCAM」として親しまれている。
特徴は、メディアテクノロジーを用いた新しい表現の探求を活動の軸にしていること。館内にはスタジオ、図書館、映画館、ワークショップスペースなどが併設され、インスタレーションにとどまらず、アートとメディアと身体表現を合わせた作品も数多く制作、発表されている。
またキュレーター、エデュケーター、エンジニア、デザイナーなど、多彩なスキルを持つ25人ほどのスタッフで構成される研究開発チーム『YCAMインターラボ(InterLab)』が常駐。市民や各分野の専門家たちと積極的にコラボレーションしながら、調査や実験から作品制作、ワークショップ開発、ソフトウエア、ハードウエア開発、論文発表などを行っている。その一環として、2015年にはバイオラボも作られた。
訪れる人々の「学び」を促すコンテンツ作りにも取り組んでおり、多彩なメディアテクノロジーを埋め込んだ子ども向けの遊び場『コロガル公園シリーズ』、メディアテクノロジーを駆使して新しいスポーツのアイデアを実現するスポーツクリエーション合宿『YCAMスポーツハッカソン』なども実施。さまざまな技術や情報を集め、表現を通して人々に還元していくという使命のために、YCAMは多岐にわたる活動を展開している。
テキスト:高橋彩子(演劇・舞踊ライター)