新緑や紅葉の名所として知られる京都の「東福寺」の寺宝をまとめて紹介する初めての展覧会が「東京国立博物館」で開催される。
東福寺は、鎌倉時代前期に摂政・関白を務めた九条道家(くじょう・みちいえ)が、奈良の東大寺と興福寺を合わせたような大寺院の創建を発願し建立した禅宗寺院。本山東福寺とその塔頭合わせ、国宝7件、重要文化財98件、合計105件にも及ぶ寺宝の数々を守り伝えてきた。
中でも注目は、重要文化財「五百羅漢図」。14年にわたる修理事業後、本展で初めて現存全幅が公開される。東福寺を拠点に活躍した絵仏師、吉山明兆(きっさんみんちょう)の代表作として知られ、1幅に10人の羅漢を表す。50幅本から成り、東福寺に45幅、東京の「根津美術館」に2幅が現存する。水墨と極彩色が見事に調和した傑作を、ぜひ間近で確かめてほしい。