森山大道や篠山紀信をはじめとした同時代の写真家を大いに刺激し、ホンマタカシら後続の世代にも多大な影響を与えた写真家の中平卓馬。日本の戦後写真を変えた伝説的写真家の、約20年ぶりの大回顧展が「東京国立近代美術館」で開催される。
本展は全5章構成で、中平の初期から晩年までの仕事を約400点の作品や資料をもとに紹介。中平は、1960年代末に発表した「アレ・ブレ・ボケ」の強烈なイメージや、1973年の評論集「なぜ、植物図鑑か」での自己批判と方向転換の宣言など、劇的なエピソードを多数持つ。特に1977年に不慮の昏倒(こんとう)と記憶喪失により中断した模索期の仕事に焦点を当て、作家がどこへ向かおうとしていたのか、そこに至る70年代の展開を詳しくひもとく。
2015年に死去して以降も、実作と理論の両面において大きな足跡を残した中平への評価は、国内外で高まり続けてきた。未公開作品も多数展示される本展覧会に、ぜひ足を運びたい。
※チケットは、タイムアウト東京のパートナーサイトでも予約を受け付けている