京橋の現代アートギャラリー「ギャルリー東京ユマニテ」で、前衛いけばな作家の中川幸夫(1918〜2012年)によるガラス作品の展覧会を開催。本展では、2002年に山梨県の「富士川ガラス工房」で中川監修の下、ガラス作家の高橋禎彦が制作したガラス作品28点を展示する。
1941年から、華道家元の池坊に属していた中川は、戦後に作庭家の重森三玲(しげもり・みれい)の推薦により、世間の注目を集める。その後1951年に、白菜を丸ごと生けた作品『ブルース』について家元と争い、流派を去る。以降は流派に属さず、弟子も取らず、独自の表現を追求し続けた孤高の作家だ。
1973年の代表作『花坊主』では、900本の赤いカーネーションをガラス器に詰めて逆さに置き、白い和紙に真っ赤な花液がにじみ出る、伝統を覆す表現で高い評価を得た。中川にとってガラスは、花を生けるための器というよりも、等価の素材としてガラスと花が響き合う、いけばなの表現を追求したものだった。
中川のガラス作品に焦点を当てた、めったにないこの機会を見逃さないでほしい。
※10時30分〜18時30分/休館日は日曜・祝日/料金は無料