江戸を拠点に独自の風俗画を描いた絵師、英一蝶(はなぶさ・いっちょう、1652~1724年)の没後300年を記念した企画展が、六本木の「サントリー美術館」で開催。最新研究を踏まえた過去最大規模の大回顧展だ。
菱川師宣(ひしかわ・もろのぶ、1618〜1694年)や岩佐又兵衛(いわさ・またべえ、1578〜1650年)らに触発され、ユーモアあふれる戯画から、狩野派絵師としての高い技量をうかがわせる謹直な作品まで幅広く描いた一蝶の活動を、包括的に紹介する。
特に注目したいのが、近年発見され、本邦初公開となる精巧で美しい仏画『釈迦十六善神図』。また、「多賀朝湖(たが・ちょうこ)」と名乗っていた時代に描かれた『雑画帖』が、一蝶展として初めて36図全て展示される。
本展を通して、一流絵師としての一蝶の画業をたどりながら、吉原の遊郭で宴席を盛り上げる太鼓持ちでもあったユニークな人となりにも触れてほしい。
※10~18時(9月27・28日は22時まで、11月9日・金曜は20時まで)/入場は閉場の30分前まで/休館日は火曜(11月5日は開館、18時まで)/料金は1,700円、学生1,000円、中学生以下無料