オノ・ヨーコや会田誠など国内外の15アーティストによる『sex』をコンセプトにした作品展示に加え、ライブやパフォーマンスも行われる“アート・ハプニング"イベント。
資料写真を見て、まず思ったのは、“S・E・X”という3文字からしか成り立たない言葉を表す様々な表現があることだ。皮のフェイスマスクひとつとってみても、フィレドリック・アランダは、亡霊の顔がねじれたようなマスクを表現した(写真下)。アランダは、性について離れ業的感覚で表現した作品『Group』(写真上)も担当した。 あらゆる表現が試されている時代にあっても、“ショック”を受けるパワフルな作品だ。他には、女性の生殖系を子供が読むような飛び出る絵本で表現した ベアトリス・イングレシスの作品も面白い。『sex』には、あらゆるものを引き込む力があるようだ。
ArtGig キュレーターインタビュー
シャイ・オハヨンは、1997年に社会とアートが関わる機会を増やす目的で、無料イベントシリーズ『ArtGig』を企画。この企画はトロントではじまり、すぐにトロントのアートファンに注目されるイベントになった。『Dirty! Dirty! Sex! Sex!』は、東京で行われるArtGigの最初のイベントとなる。このイベントについて、シャイにインタビューを試みた。
イベントのテーマはシンプルに『sex』ですが、どんな作品が集まり、どんなイベントになりそうですか?
シャイ:アーティストにはそれぞれの解釈があるので、他のキュレーターが行うような、助言や細かいディレクションはしていません。いくつかの作品は新作としてこのイベントの為に制作されたものですし、過去作品もまた、いくつかあります。抽象的なものもある一方、判りやすいものもあります。誰もが、共通して考えられるテーマについて、各アーティストがどのように解釈しているかを見るのが楽しいですね。女性の生殖系からフェチまで様々な表現があります。メディアとしては、ライブパフォーマンス、写真、映像、彫刻、インスタレーション、ドローイング、サウンドなどあらゆる領域に及びます。
アーティスト選びはどのように行いましたか?
シャイ:3つのポイントを大事にしました。まず、今回のイベントの展示環境にあう作品をつくっている。次に、様々な表現メディアの作品を集める。最後は、著名なアーティスト、中堅どころ、そして、若手をバランスよく集めることです。ArtGigTokyoの目的の中心にあるのは、アーティストに東京で展示する機会を与え、観客に気軽にアートを体験できる機会を与えること。その両方を念頭に置きながら、アーティストを選択しました。
企画から実現まで一年ぐらい掛かったそうですが、なぜですか?
シャイ:どの展覧会もコンセプトを決めてから実現までは、多くの時間がかかると思います。この展覧会に関しては、関わっている人が少なかったこと、幅広い表現領域について、多くのことを実現する必要があったからだと思います。イベントを当初の企画通り無料にするために、準備に関わってくれる人にも貴重な時間を提供してもらいました。ですから、可能なかぎり、フレキシブルに、調整していました。
ArtGigTokyoの次の展開はどうなりますか?
シャイ:このイベント後は、 空きビルを使った『ghost』(お化け)をテーマにしたイベント、お墓を使った『death』(死) をテーマにしたイベントを企画しています。