20世紀ほど、絵画における表現が多様かつ複雑に変化していった時代はないだろう。19世紀に写真の技術が生まれ、それまでの大きな役割を失った絵画。当時の画家たちは、突きつけられたその大問題から、風や光を描く「印象派」を生み出した。
ポール・セザンヌは、そこに伝統的な絵画の技法を重ね合わせようと試行錯誤を続ける。作品がなかなか評価されない時代が続くも、彼の死後、パブロ・ピカソやジョルジュ・ブラック、アンリ・マティスらに与えた影響は計り知れない。わずか50年の間で、写実表現から色彩を解放したフォーヴィズムと、形を解放したキュビズム、そして抽象絵画の誕生につながっていく。
印象派から抽象絵画まで、豊富で良質なコレクション群で構成される本展は、まさに「アーティゾン美術館」だからこそ企画・開催できる展覧会だ。