インドネシアを代表する現代美術アーティストであり、1997年のアジア金融危機に続くスハルト政権の崩壊と、インドネシアの民主主義への移行を経験した「レフォルマシ(改革)」世代の一人でもある、エコ・ヌグロホの個展が代官山で開催。「Nowhere Is My Destination」と題し、昨今の課題である移民と国境の問題をテーマにした平面作品や彫刻、壁画が制作展示される。
ヌグロホの作品は、インドネシアの伝統的なバティックと刺しゅうのスタイルに、現代のストリートアート、グラフィティ、コミックの要素を取り入れていることが特徴。「一見偽りの安心を与える、より強靭で凶暴な私たちの社会における見えない壁」を象徴した、陽気な色のイメージの背後にある巨大な絡み合う線。作品の前に立つと、芸術を通して社会に強く語りかけるヌグロホの声が聞こえてくるようだ。