『TodaysArt』はプラットフォームであり、このフェスティバルはそのプラットフォームにおけるある種の成果です。私たちは、視覚芸術や音楽から、ダンスなどのパフォーマンスアートに至るまで、できるだけ多くの分野を常に結びつけようとしています。この種のメディアアート、つまりデジタルカルチャーについてひとつ言えることは、暗い空間が必要なために、屋内で行われる場合が多いということです。プロジェクターなどの装置が必要となるためです。私たちがやろうとしているのは、こういったメディアアートを屋外で行うことです。したがって、基本的にこのフェスティバルのコンセプトは、都市に関して言えば、美術館や劇場、クラブ、パブリックスペースなど、都市の文化的基盤を使用すること、そして、それを世界中のアートと融合する、というものです。
TodaysArt.JP Festival 2014 from TodaysArt on Vimeo.
ー東京のパブリックスペースをアートに利用するのは簡単なことではないと思いますが、具体的にどのようなことを計画していますか?
私はいつもアナロジーを用いるのですが、例えば美術館に展示された裸婦の絵はアートですが、屋外広告に裸婦を用いた場合、まったく異なる反応を呼ぶでしょう。つまり、こういったパブリックスペースを使用する場合には、まったく異なるリアクションとテンションを呼ぶことを理解する必要があります。昨年の東京では、長い通りに面した倉庫を使用しましたが、許可の面では非常に利用しやすい会場でした。しかし、同じことをもっと大規模にやろうとする場合、そうはいきません。ハーグでは、160個のスピーカーを使用して壁際に音響装置を設置して、通りに『ボーイング747』の音を響かせ、滑走路をつくりあげました。これは、500mにおよぶ仕掛けになりました。会場付近の住民はそれが芸術作品だと分かっていましたが、バイクで通りがかった人々は飛行機が墜落したと思ったでしょう。こういったことは、想定しておく必要があります。
日本でパブリックスペースを大規模に利用するならば、数年の準備期間と若干の資金作りが必要となるでしょう。というのも、日本では屋外にアートのためのインフラがないからです。また、入場料が無料のため、資金も必要となります。しかし、私たちはこれまでのプロジェクトに基づき、持ちうるすべての知識を動員して、このフェスティバルのコンセプトを日本で実現しようと考えています。