鴨川と高瀬川に挟まれた、南北に伸びる京都の花街の一つ「先斗町(ぽんとちょう)」。歴史をさかのぼれば、鴨川の中州だった地で江戸時代に両河川の護岸工事によって、埋め立てられた場所だ。
西に走る木屋町通りへ向かって小道が通っていたり、行き止まりになっていたり、路地という路地に町家を利用した飲食店などがひしめきあっている。毎年5月に行われる京都の年中行事の一つ、「鴨川をどり」が開催される「先斗町歌舞練場」もこの通りにある。
京都では明治時代に道路幅の拡張工事が行われたが、先斗町は江戸時代のまま。両脇の町家の軒庇(のきびさし)の出は短く、さまざまな格子が見られる。この道幅の狭さと町家風情が相まって、今となっては昔の街並みを再現したテーマパークでしか味わえないような路地裏散策が味わえるだろう。
とりわけ、街灯とちょうちんのほのかな明かりに照らされた夜の街並みは、趣がある。夕食時に、または夕食後のもう一軒を探しながら散歩を楽しんでみては。