アッソ・ダ・ヤマグチ 中崎町店
Photo: Kunihiro Fukumori
Photo: Kunihiro Fukumori

大阪、ベストレストラン、カフェ&バー

定番グルメから、イノベーティブレストラン、レトロカフェまで

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タイムアウト大阪 > Things to Do >大阪、ベストレストラン、カフェ&バー

「くいだおれの街」大阪の食文化は多様で奥深い。たこ焼き・お好み焼きなどの「粉もん」をはじめ、串カツ、大阪うどん、スパイスカリー、箱寿司まで、ローカル発のユニークなメニューを数多く生み出し、進化させてきた。

ここでは、こうしたご当地グルメはもちろん、地域を代表するシェフが手がける隠れた名店、美しい空間のレトロカフェ、世界に通じるロースタリーカフェ、新たな扉を開いてくれるバーまで、大阪で訪れるべき飲食アドレスを厳選して紹介しよう。

さらに、2025年3月21日(金)には、JR大阪駅前に広がる商業施設「グラングリーン大阪」南館に、関西最高峰の食と文化が一つ屋根の下に集結したフードカルチャーマーケット「タイムアウトマーケット大阪」もオープンする。併せて、ぜひ大阪観光の参考にしてほしい。

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レストラン

1844(弘化元)年、大阪発のおでんの「関東煮」と燗(かん)酒を味わう「上燗屋」として始まり、日本最古のおでん屋ともいわれる「たこ梅」。一大観光地としてにぎわいを見せる道頓堀の中でも、威風堂々としたたたずまいに、浪花の老舗店としての貫禄を感じさせる。

店内でまず目に飛び込んでくるのは、あめ色に光る年季の入ったコの字カウンターと、グツグツと煮えるおでん鍋だ。創業以来注ぎ足し続けるだしで炊く関東煮の「ネタ」は、「大根」や「こんにゃく」「ごぼう天」といった定番から「菊菜」や「子持ち烏賊」などの季節ものまで、約20種を用意する。

鍋は常に沸騰させて炊くことで、食材の風味を残しながらうまみを最大限に引き出す。名物は、タコを柔らかく炊いた「たこ甘露煮」(600円、以下全て税込み)。かむほどに味わいが増すクジラの舌「サエズリ」(900円)といった、創業者が考案したメニューもおすすめだ。

ネタの価格別に色分けした札を注文ごとに目の前に置くという、創業時から続く独特な会計システムも趣きがある。近年はオーダーのコツをメニュー表などで案内し、初心者向けの「関東煮セット」も提案。常連も一見さんも分け隔てなく出迎えることで、伝統を未来につないでいる。

いつ訪れても、おいしいものに目がない人々の活気にあふれ、今や「オモテ」をしのぐ勢いなのが「ウラなんば」と呼ばれるエリアだ。その中でも、かつてこの一帯に倉庫が立ち並んでいた本当の「裏」時代から続く人気店が「ときすし」である。店へのアクセスは地図アプリを開くよりも、「なんばグランド花月」の裏から見える行列を目印にした方が早いかもしれない。

それもそのはず、ここは職人の握る本格的な寿司を1貫82円から楽しめる珍しい店なのだ。ランチメニューでは、にぎり寿司8貫に赤だしの味噌汁が付いた「ときときセット」が1,320円。さらに、豪華さに思わずテンションが上がる限定10食の「海鮮バラちらし」でさえも1,320円なのだから、驚きが隠せない。

そうは言っても、単に安いというだけでは、グルメな大阪人の舌をここまでとりこにすることはできない。大阪・泉州にある泉佐野漁港から仕入れた魚介類をベースに、店主によって厳選された新鮮なネタで勝負しているからこそ、皆行列に並ぶのである。中には芸人たちの姿もチラホラ。いわく「東京に進出しはった方も、大阪に帰ってくると立ち寄ってくれます」という愛されっぷりだ。

なんばグランド花月を訪れる前、もしくは訪れた後にここで「大阪」を満喫してほしい。

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「善ラボラトリー(laboratory)」は、ミシュランガイドにも掲載された、大阪市福島区の人気店「中華そば無限」で修行を積んだ店主が2021年にオープンしたラーメン店だ。オレンジ色のネオンとステンレスを多用した店内は、女性一人でも入りやすいおしゃれな雰囲気。化学調味料を使っていないラーメンを求め、週末になるとファミリー客も多く訪れる。

麺は自家製で、スープもこだわりを追求。厳選した素材とコーヒーショップなどで使用される、高性能な浄水器でろ過した水から作っているという。看板メニューの「白醤油中華そば」(900円)は、数種類の丸鶏を使った鶏清湯(ちんたん)に、魚介を合わせたスープが特徴。口に入れると鶏のうま味とコクが広がり、あっさりした見た目とのギャップに驚く。北海道産小麦の「きたほなみ」を使った、喉ごしのよい麺と相性抜群だ。

もう一つの人気メニューが「鰹昆布水つけ麺」(1,000円)。中太の全粒粉麺が浸かる昆布水には、道南から取り寄せたコンブを使用。白醤油中華そばと同じスープをベースに、シードルを入れることで程よい酸味をプラスしている。昆布だしをまとった麺に、鶏のうま味がからみ食欲をそそる。

トッピングには豚肩ロースのチャーシュー、鶏チャーシュー、コマツナ、メンマ、そして淡路島産の藻塩とワサビを用意。1口目は、麺に藻塩とワサビをつけて食べると、小麦の香りが引き立ち、あっさりと味わえるのでおすすめだ。

にぎやかな千日前通りから一本入った相生町通りに現れる小さな路地「利兵衛横丁」。ここで2020年6月にオープンしたのが「カリーノアトリエ」だ。もともと会社員だった店主はカレー好きが高じ、間借りから営業を始めた。

大阪のスパイスカレーといえば、「自由」であることが最大の特徴。「自分ならではのカレーを」と考えた時に店主の頭に浮かんだのが、地元・和歌山の郷土料理「茶粥」の存在だった。「二日酔いでも食べられる料理にしたいと思って」と、茶葉店を巡り1カ月試行錯誤した果てに生まれたのが、水の代わりにほうじ茶を使ってカレーを作るという独自スタイルだ。

おすすめは、定番の「ほうじ茶チキンカレー」か「ほうじ茶鯖ごぼうキーマカレー」と「本日のスペシャルカレー」をあいがけした「2種あいがけ」(1,300円)。約20種のスパイスを使ったカレーのベースと具材をほうじ茶で煮込み、仕上げには焙煎(ばいせん)したほうじ茶をふりかける。

一口食べると、香ばしさと程よい苦みが口の中いっぱいに広がる。ほうじ茶で煮込むことで、ごろっとしたチキンも柔らかい。クローブやカルダモンなど4種のスパイスで炊いたジャスミン米がカレーと合わさり、華やかさは無限大だ。

夜はカレーのみならず、スパイスを使ったつまみが並ぶ居酒屋スタイルで営業。「自家製スパイスとりハム」(385円)や「だし巻きチーズキーマ」(550円)などと一緒に、店主おすすめの「ほうじ茶ハイ」(550円)や「ナチュールワイン」(650円から)をたしなもう。

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約100の飲食店が軒を連ねる、新梅田食道街にある串カツの名店。カウンターに置かれた銀のトレーには次から次へと揚げたての串カツが並ぶ。ここから好きなものを自由に取り、ソースに付けて食べるというシステムだ。

ソースの2度付けは禁止なので、ソースを足したい場合は、キャベツですくって串カツにかけよう。串カツは牛串が1本100円(税込み)からとリーズナブル。スタンディングのみなので、サクッと食べたい時にもうってつけだ。

さっぱりしたいけどガッツリ食べたい? 懐の広い「新梅田食道街」なら、そんなワガママもかなえてくれる。目指すべきは「讃岐の麺×大阪のだし」という夢の最強タッグが生み出した「大阪讃岐うどん」だ。すでに一つのジャンルとして定着しているが、その火付け役と言えばやはり「釜たけうどん 新梅田食道街店」だろう。

ゆでたうどんを冷水でキュッと締め、つけだしをかけて食べる「ぶっかけ」を専門に提供する。つややかに輝く長くて太いうどんは、うっとりするほど立派。唇の上をツルツルと滑っていく快感を楽しんだら、濃いめでありながらも、やはり大阪風の上品さが漂うつけだしの風味に包まれよう。後はもっちりとした食感と確かなコシを気の済むまで楽しんで。飲み込んだ後に残る生姜とレモンの爽やかさが「もう一本…」と箸をわんに向かわせる。

どのメニューも小(300グラム)、中(400グラム)、大(800グラム)と麺の量が選べる。中サイズを基準に「ちょっと少なめがいい」「もりもりに食べたい」とかゆい所に手が届くナイスな設定だ。

1番人気は、器から思い切り飛び出たちくわ天がトレードマークの「ちく玉天ぶっかけ」(小・800円、中・830円、大・980円)。国産和牛のみを使用した贅沢な逸品「肉ぶっかけ」(小・1,100円、中・1,130円、大・1,280円)もおすすめ。人気店ゆえ「行列に並びたくない」というワガママだけはかなわないかも知れないので、注意してほしい。

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ピッツァが運ばれてきた瞬間に感じる全身が包まれるほどの「香り」、そしてかみ締めるごとに口の中に広がる「甘み」。 数多いナポリピッツァの有名店の中でも、中津にあるこの「ピッツェリア&トラットリア」で感じる小麦の「力」は一歩上と思える域にある。

理由の一つは、オーナーである宮本一典が「2010年のオープン以来、毎日毎日、試行錯誤と改良を重ねてきました」と振り返るように、ピッツァにかける情熱にある。

生地は、約3日間低温発酵させたもの。宮本流「秘術」の一つである、練る際にシャーベット状に一部凍らせた水を用いることで、グルテンを抑え軽く仕上げるという。

ピッツェリアの定番人気は、「チチニエッリ」(2,090円)だ。約10種のピッツァ以外にも、ナポリ流パスタやメインディッシュも充実。グラスワインも800~1,000円で楽しめ、ナチュラルワインやスパークリングなどもセンス良く揃っているのもうれしい。

「そば屋でサクッとお酒を飲むみたいな感じで、寄ってもらえたら」と、オーナーの理想が日々ピースフルに実現している店だ。

1997年、「大阪駅前第3ビル」にオープンした沖縄料理店。大阪市内では今でこそ沖縄料理店が増えているが、第一次世界大戦後から沖縄県出身者が多く暮らす大正区以外では、当時はまだまだ珍しい業態だったそうだ。店が爆発的注目されたのは、2001年にNHKで「ちゅらさん」が放送されてからだという。

提供される料理は「沖縄そば」(900円)や「ソーキそば」(1,000円)、「ゴーヤチャンプルー」(900円)など、沖縄料理と聞いて誰もが思い浮かべる定番ものから、豚の塩漬けで脂肪分を抜いた「スーチカ」(650円)や「タコス」(850円)などと幅広い。

沖縄では定番だが、県外の店で提供されることが少ないタコスは、リピーターが多いメニューの一つ。トルティーヤに乗ったタコミート、トマト、レタス、チーズの上にチリソースをかけて豪快に頬張れば、最高のひとときが訪れる。

ほかにも、磯の香りがふわっと薫って沖縄に行きたくなる「海ぶどう大」(800円)や優しい味付けの「ラフテー」(980円)も見逃せない。テーブルとカウンター、座敷席があり、人数や一緒に訪れる人によって使い分けできるのもうれしい。

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北新地駅近くにあるイノベーティブ・フュージョンレストラン。完全予約制で、洗練された店内では革新的なコース料理を提供している。

シェフの小川大喜が手がけるのは「素材×素材」の無限の可能性を追究し、創造し続ける料理。フレンチの場合、素材を重ねて奥深い味わいを出していくことが多いが、小川が目指すのはそれぞれの素材本来の味わいが生きた料理だ。用いる食材自体は少なくとも、旬のものを用いたり、柔軟な発想で素材同士を組み合わせることで、独創的な一品を生み出している。

店の中心に鎮座するのは、スタイリッシュなカウンター席が8つのみ。やや緊張感が漂うかもしれないが、心配する必要はない。料理をしっとり味わうのではなく、ワイワイと楽しんでほしいというのが小川のシェフとしての精神だ。最低限のマナーは守りつつ、リラックスして食事を楽しもう。このクオリティーの料理を肩肘張らずに堪能できるのも「カピ」ならではの魅力だ。

夜の営業は2部制で、料理は一斉にスタート。土曜日に限り12時からランチ営業を行う。

Osaka Metro西梅田駅近く、JR大阪駅からも徒歩圏内にあるプレミアムバーガーダイニングの人気店。ゆったりと広いフロアに漂うのは、オーストラリア人オーナーであるアゴスティネリ・パット(Agostinelli Pat)のセンスをさりげなく感じさせる非日常感。ハンバーガーには、その「クラフトマンシップ」がしっかりと凝縮している。

「クラフトバーガー・デラックス」(1,650円)ほか、パティには全て国産牛を100%使用。毎日その日の分だけをキッチンで手びきするゆえの、鮮明なうまみには感動する。タマネギを長時間じっくりと炒めて甘みを引き出した後、9種類のスパイスをブレンドして作られるソースは、深い滋味とキレのいい後味が舌にも心に響く。

この店の魅力はもう一つある。クラフトビールからジャパニーズウイスキーまで揃う、充実したドリンクメニューだ。しかも、クラフトビールは全て生で全6タップを用意。白州のハイボールなど、希少ウイスキーのドリンクも良心的価格で提供している。しっかり飲める「バーガーバー」としても、きっと重宝するだろう。

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難波の外れ、難波千日前公園の近くにあるラーメン店。細い路地の奥にある店の空間は意外に広いが、客席はカウンターの8席のみしかない。フロアには、15席の順番待ち用の椅子が十分に間隔をとって並べられている。贅沢な空間の使い方は、「数を売るより、 一杯ずつ完璧にラーメンを仕上げるため」だという。

看板メニューは「中華そば・並」(900円)。大阪ご当地ラーメンの代表格の一つである「高井田系(特濃醤油・ 極太麺が特徴)」を、ややマイルド、まろやかに仕立てている。 スープは、鶏ガラと豚骨に鶏油を加えた醤油味で、醤油と鶏だしの一体感が素晴らしい。麺は大鍋でしっかり泳がせるため、ゆで上がるまでに5分ほどを要する。

その間、和歌山の名店「こしぢ」から取り寄せるサバの押し寿司の「早寿司」(150円)をつまみながら待つのも趣き深い。行列や待ち時間は、平日夜が比較的穏やかなのも覚えておこう。

大阪寿司の代名詞的一軒として知られ「箱寿司」発祥の地として畏敬される本町の老舗が「吉野寿司」だ。創業1841年、170年を超える歴史を誇る。今ではオフィス街の一等地になってしまった当地だが、ビル風になびく趣あるのれんをくぐる客は後を絶たない。

7代目となる店主、橋本卓児は大阪寿司の魅力をこう語る。「それは時間をかけた下仕事の芸術です。タイは塩締めし1日寝かせてうま味を引き出す。シイタケは5時間ゆっくりと炊いた後、1日寝かせて味を馴染ませる。そんな無数の手間と、長い時間が小さな箱に凝縮されているのです」

名物である「箱寿司」(1,760円)は、 戦前から継ぎ足されるたれで焼く「活け穴子」、瀬戸内の小鯛(こだい)、厚焼き卵、エビ、シイタケ、焼きのりなどを木枠の箱に入れて押した寿司。心華やぐ色鮮やかさに加え、かみしめるごとに寿司飯とネタが口で一体化し、深々と響くうま味は、まさに歴史に磨かれた、至高の名人芸のたまものである。

難波、新大阪の支店も含め、テイクアウトスタイルで営業している。「箱寿司」のほか、「棒寿司」(タイ、サバ、カニなど)、「蒸し寿司」といった多彩な大阪寿司の世界を楽しみたい。

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大阪人が胸を張って勧められるたこ焼き専門店の一つ。大阪の食文化を守り伝える「こんぶ土居」の「天然真昆布」と「久間田商店」のかつお節、まぐろ節からだしを取り、伊勢産のタコを湯がいて使う。小麦粉、卵といった素材も全て吟味して焼き上げる「たこ焼き」は、ソースを付けなくてもうま味十分。大阪で親しまれてきた小ぶりのサイズもちょうどいい。

「たこ焼き 一人前」(14個、1,100円)は、一般的な相場からすればやや割高に感じられるかもしれない。実際、店頭にも「ちょっと高いです」という断り書きがある。「高級店を目指してるつもりは全然ないんやけど、昔ながらの当たり前のことをやろうとしたらどうしてもこの値段に」とは店主の言葉である。

たしかに、国産のタコでさえ「もはや高級食材」という今の時代。それでも、店主が子どもの頃に食べていた「当たり前のたこ焼き」を素材から追求することで、大阪人も納得のたこ焼き店として多くの人に愛されている。

なお、ナチュールワインをはじめとするドリンクメニューも充実して、たこ焼きに合わせて昼から1杯、というのもこの店では馴染みの光景。「たこやきグラタン」などのアレンジメニューと合わせれば、飲み過ぎ必至だ。

※現在、夜は要予約の別形態の営業となっている

  • 中華料理

谷町の住宅街にひっそりとたたずむ中国料理店。週末のみの営業で、ディナーは1組限定(前日までに要予約)で提供している。

ランチメニューは、セットで1,600〜2,000円程度。オーガニック野菜、肉、魚を中心にした3種の選択肢のほか、一日一食限定の料理がある。驚くのは「本当に全部仕込んでいるのか?」と疑いたくなるほどの品数の豊富さだ。

取材時は「天然エビと剣先イカ、夏野菜炒め」(2,000円)、「鯛の天ぷら甘酢あんかけ」(1,900円)、「豚の角煮とゴーヤ、夏野菜ピリ辛炒め」(1,900円)に加え、一食限定では「小鯛のピリ辛四川風」(1,900円)、「茄子のピリ辛香り煮」(1,600円)など、トータルで12種類がオンメニュー。「迷ってもらいたい」という店主のサービス精神のたまものである。

「片口鰯のマリネ」「海鮮蒸し餃子」「蒸茄子の夏野菜ソース」「にんじんとセロリの山椒風味」「自家製柴漬け」「さつまいものつるの胡麻和え」(全て取材時)といったセットの小鉢や付け合わせも充実していて、細部まで行き届いた仕事ぶりがうかがえる。「おいしいものを食べてもらいたいから、やれることは全てやる」という気持ちが注ぎ込まれた食事で、腹も心も満たされてみては。

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  • ショッピング

1940年創業、箕面市の銘菓として知られる「もみじの天ぷら」の老舗店。衣を付けた葉にまんべんなく火が通るように約20分くるくると返しながらじっくりと油で揚げられた「もみじの天ぷら」を1年中販売している(11〜12月の繁忙期は電話での完全予約制で販売)。

「もみじの天ぷら」に用いられるのは、観賞用として馴染みのある「イロハモミジ」ではなく、「一行寺楓」という食用のもの。柔らかく歯ざわりのいい食感をさらに追求するべく、1985年ごろから同店が所有する山林で「一行寺楓」を木から無農薬栽培で育てる取り組みをスタートした。毎年、黄色く色づいた頃合いで葉を収穫、水洗いして1年以上塩漬けに。寝かせた葉を丁寧に塩抜きし、1枚ずつ天ぷらにして提供している。

2020年には「もみじ茶」を用いたソフトクリームや「箕面ビール」なども味わえる、カフェスペースを併設した「小紅(Cobeni)」を本店のすぐそばにオープン。本店では「プレーン」のみの提供だが、ここでは「グリーンティー味」や「黒糖味」「七味味」など、新感覚の「もみじの天ぷら」も揃えている。

小紅では、電話予約をせずに商品を購入することもできるが、前日までの予約分で店頭販売分がなくなってしまうこともしばしば。事前に予約をしておくのが安心である。

創業時から受け継がれる伝統の製法と技術で手間ひま惜しまずに作られた「もみじの天ぷら」は、かりんとうのような優しい甘さ。一度口にすれば、きっと手が止まらなくなるはずだ。

  • ピザ

本場ナポリで行われた「ナポリピッツァ職人世界大会」でインターナショナルカップの優勝に輝く(2016年)など、「ナポリピッツァ」の大会で輝かしい成績を収めてきた一軒。

オーナーの山口真希は「ナポリピッツァを極めるには薪窯焼きは大前提。その上で素材一つ一つの吟味が本当に大切」と語り、水牛モッツァレラだけでなく、ツナなどもイタリア産にこだわっている。それらの厳選された素材が奏でるハーモニーが、一口ごとに、口の中にナポリの太陽がパッと輝くようなおいしさを生んでいる。

バリエーションは28種類。「マルゲリータ」などの定番だけでなく、揚げなすが乗った「ピッツァメランザーネ」、チョコレートやバニラの入った「ドルチェピッツァ」などもある。2種類のピッツァを選びハーフアンドハーフで注文できるので、 初めてのピッツァにも気軽にトライできる。

店があるのは、歴史ある中崎商店街のアーケードの中。大きな薪釜、タイル貼りの床、レバー式のエスプレッソマシンまで、ディティールの隅々にまであふれるナポリの雰囲気を堪能できる。西天満には支店もある。

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いかにも大阪の下町という此花の住宅地を抜けると、市内では珍しい漁港が現れる。その伝法漁港に隣接するのが「てっちり 克政」だ。ここは6,050円からさばきたてのフグをコースで堪能できる、知る人ぞ知る「てっちり」(フグの鍋料理)の名店。のれんをくぐれば、底抜けに明るいおかみさんが出迎えてくれる。

まず、てっさ(フグ刺し)の歯応えに思わず「おっ」とうなる。カリッと揚がった唐揚げもとてもジューシーで、追加注文が多いという。鍋の具材が運ばれてきて、人気の理由が分かった。ここで出されるフグは鮮度抜群なのだ。それゆえに、鍋用の身は1切れずつ鍋にサッとくぐらせ、表面が白くなったくらいで食べるのがこの店のおすすめである。

手づくりのポン酢は、徳島県・木頭産のユズとスダチを使用した果汁100%。酸味と甘みのバランスが絶妙なそのポン酢が、フグの味わいをグッと引き立てる。

そして、てっちりのシメといえばやはり雑炊だが、この店のは一味違う。一般的なものよりかなり多めのだしを使用し、ただひたすらかき混ぜ続けるのだ。おかみさんと楽しくおしゃべりしながら待つこと約15分。たっぷりとだしを吸い、かつごはんの粒がつぶれることなく仕上がった、極上ふわとろ雑炊の出来上がり。これならおなかがいっぱいでもペロリといけてしまう。

夏場(6〜9月ごろ)限定で楽しめるハモのコースも必食。不定休のため、訪れる際は事前に店に確認をしておこう。

大阪で初めて焼き鳥によるミシュラン一つ星を獲得した「あやむ屋」が、新業態となる鶏料理店をオープンする。

店主の永沼巧(ながぬま・たくみ)が大切にしたのは、細部にまでこだわる味のバランスである。「味変」を楽しませる鶏の唐揚げや、つくねで仕立てたチキンカツサンドなど、慣れ親しんだ味の新たなおいしさを追求する。

二度揚げして香ばしさを際立たせた「手羽の唐揚げ」は、パリッとした皮の食感とジューシーで弾むような身の絶妙なバランスが特徴だ。自家製たれと肉のうまみが口の中で重なり合い深い味わいを生み出す。

大阪が誇る焼き鳥の名店が挑む飾らない味わいの鶏料理は、すぐにまた食べたくなるだろう。

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天神橋筋六丁目駅近くにある、鉄板焼メニューを中心した居酒屋。2022年8月の創業以来、お好み焼きや焼きそばなど、米粉を使った「こなもん」が人気だ。

徹底したグルテンフリーで、天かすも米粉で自作。味に厚みを出すためにタマネギとニンジンをペースト状にして混ぜ、卵とカツオの一番だしで合わせたものを、サラダ油で揚げているという。そのままでも酒のアテになると常連に評されるほどうまみがしっかりとして、ふんわりとしたお好み焼などの生地の中でも存在感がある。ソースもグルテンフリーのものを探したという。

鉄板を使うものから酒のアテまで迷うほどの品数があるが、まずは人気のお好み焼「ブタ」(980円)をトライしたい。米粉生地がサクサクと軽快で、食後感も軽く、乗せられた黄身が濃いめの半熟たまごとの相性も抜群だ。

豚、牛スジ、エビ、イカ、タコ入りの焼きそば「豪華MIX」(1,420円)もおすすめ。焼きそばの麺も100%米粉を使用し、小麦粉のものと変わらぬ食感で、プルンとしてかみ応えもモチモチだ。

ドリンクはビールやハイボールが人気だが、紅ショウガと米酢、黒コショウでパンチを効かせたオリジナル「寛ハイ」(580円)もオーダーしてほしい。

なお不定休のため、Instagramをチェックして出かけよう。

「スパイスカレー」という言葉がよく聞かれるようになる前から独創的なカレーを創り出し、カレーシーンに衝撃を走らせた「Columbia8」は、大阪スパイスカレーブームの火付け役の一店。4年連続でミシュランガイドに掲載された名実ともに「レジェンド」だ。

初めての来店者が選べるのは、キーマ、野菜、ミックスの3種類。デビューにはColumbia8のベーシックな味である「キーマカレー」を強く勧めたい。

皿いっぱいに広がるサラサラのカレー、中央にライス、頂上にはシシトウが乗った美しいビジュアルのカレー。Columbia8のカレーを味わうために欠かせないのが、セットで付くグレープフルーツジュースだ。

まずは店が提唱する「右手にスプーン、左手にシシトウ」の通り、苦みのあるシシトウを一口かじり、舌先のスパイス感度を高める。シシトウとカレーを交互に食べ進めていき、辛みを感じたらグレープフルーツジュースを一口飲もう。

ジュースには舌の味覚をリセットする酸味の役割があり、何回でも1口目のおいしさにタイムスリップできるのだ。「あえてややこしい食べ方をしてもらうことで味に没頭できるように」と店主のオギミ〜ル☆は、五味を全て分散したレイアウトに仕立て上げている。

30種類以上ものスパイスで構成された複雑で奥深い香りは、一度食べただけでは理解不可能だろう。食べ終わってから「あの味はなんだったのか……」と、思い出して考えているうちに、また食べたくなってしまい足を運んでしまうのだ。

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梅田から一駅隣の中津では、昭和の風景がそのまま残ったような中津商店街を筆頭に、ここ最近立ち飲み屋など若い世代による新店が次々とオープンしている。スパイスカレーの店「SOMA」は、そんな中津で、2012年に創業した。

店主の和泉希洋志は音楽アーティストとして活動してきたが、2011年の東日本大震災を機に「SOMA」を開店。「社会と接触できるような場所を作りたかった」と語る。店内にはモジュラーシンセが置かれ、植物が持つ微妙な電気を拾って音を奏でるライブ演奏が繰り広げられる。

SOMAのスタイルは「チキンキーマ」に、「お肉のカレー(5種)」「野菜カレー」「トマトカレー」の中から2種を合わせるスタイル(1,200円)。カレーは鶏肉でとっただしと約30種のスパイスとともに手がけたベースに、それぞれ注文ごとに調理した具材が合わさっていく。

「カレーも作品の一つ。それが人の体に入り生命を作っていくということは、神聖な行為だと感じます。だからこそ素材もシンプルに」と、蒸留していないミネラルたっぷりの塩や種子島のきび糖を選ぶ。

チキンキーマに合わせるおすすめの組み合わせは「お肉のカレー」の1種「花椒豆腐」と「トマトカレー」。花椒豆腐は、ピリッとした山椒が豆腐の上にかかり、カルダモンがきいた華やかなカレーと合わさる刺激体験がいい。思わず「これぞスパイスカレー」と感嘆してしまう。

添えられたカボチャやココナツのサンボーラ、アチャールは、カレーと自分好みに混ぜ合わせよう。その時限りの「作品」を、体の奥底から味わってほしい。

久太郎町にあるカフェレストラン。昼間は焼き菓子をメインに提供するカフェ、夕方からはアラカルトやコースで料理を提供するレストランとして営業する。

オーナーシェフは、パリにあった星付きモダンフレンチ「ケン カワサキ(Ken Kawasaki)」で修行。その時期に「やはりワインは生産国で飲むとおいしさが違う。 ナチュラルワインは特に移動距離にデリケート。だから日本で店をするなら、 日本のナチュラルワインを」と、実感したという。

そうした思いから、昼夜ともに楽しめる豊富なワインメニューの中で、日本のワインもしっかりセレクトする。うれしいのは、グラスワインが量による均一価格で楽しめること。例えば、赤ワインと白ワインは全て70ミリリットルで770円、100ミリリットルで980円だ。

リストされるワインは日々変わるが、北海道の「タキザワワイナリー ケルナー」など、通常は高く提供されるものが登場することも。これを実現できるのは、オーナーの「とにかく良いワインを飲んでほしい。僕が『出したい!』と思うワインで、感動を共有できれば」という、ワインへの愛と情熱があるからといえるだろう。

季節を鋭く映すアラカルトメニューには、「真鯛の昆布締め、ホワイトアスパラ、河内晩柑のカルパッチョ」(1,800円)など、2020年代のモダンガストロノミーのセンスが輝く料理を豊富に揃える。前菜一品とグラスワイン数杯の「バル使い」も大歓迎だという。ワインや料理のおいしさや店の雰囲気はもちろん、ホスピタリティーの良さが店を「大阪の宝」の一つにしている理由だろう。

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大阪中央卸売市場に拠点を置く、1910年創業の鮮魚卸業「播芳」が直営する食堂。いわく「日本人が『魚離れ』しているといわれて久しい。日本には世界でも類稀な豊富な魚種を誇り、豊かな食文化を育んできました。日本で捕れた魚の魅力を知り、最も身近に感じてもらえる場所を提供したい」と、市場からも近く、電車移動からのアクセスもいい西九条駅の高架下に同店をオープンした。

 「世代を問わず入りやすくしたくて、ファミリーレストランをイメージしました」という店内は、明るく飾らない雰囲気。ランチタイムは旬の鮮魚10種以上を豪快に盛りつけた「市場丼(松)」(1,350円)がメインで、ディナータイムは刺し身や寿司、魚介の一品料理など居酒屋としても楽しめる。

自分たちは料理人ではないけれど、魚という素材を扱うプロとして目利きは誰にも負けない自負があります。産地やブランド名にこだわるのではなく、あくまで『今日、全国で揚がったおいしいものを』ということを大切に、日替わりでおすすめの鮮魚をピックアップしています」と、五代目社長は話す。

 旬のおいしい魚にこだわるため、固定メニューはない。オーナー自らが市場の仕入れを見て、毎日メニュー表を書き換え、海鮮丼に使われるネタもその時々で変化する。時には有名料亭に卸される高級魚や、レアな魚が登場することもあるが、卸だからこそのリーズナブルな価格帯で味わえるのがうれしい。

  • Things to do

岸和田市指定有形文化財を、料亭としてリニューアルオープンした「岸和田市五風荘」。岸和田城堀の南側に位置する回遊式日本庭園を眺めながら、食事が楽しめる。

料理は、旬の食材をふんだんに使った「季節会席コース」をはじめ、「神戸牛しゃぶコース」「てっちり満腹コース」などの鍋料理も提供。1人から44人まで対応する個室があり、さまざまなシーンで利用できるだろう。

約7900平方メートルもの日本庭園は、3つの茶室や織田信長にゆかりがある「十三石の塔」など、見どころが多い。庭園のみの見学もできるので、気軽に訪れよう。

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地上階には数々の企業が入居し、地下には多彩な飲食店が軒を連ねる「大阪駅前第2ビル」。「さぬきうどん 四国屋 本店」は、ビルが創業した1976年から営業する数少ない店の一つだ。「香ばしいだしがクセになる」と評判で、ランチ時には連日行列ができる人気店として知られている。

「愛媛県出身の両親とともに創業。当時はまだ大阪で『さぬきうどん』という言葉は馴染みがない時代でした。だしにこだわり、大阪の方に愛されるうどんを目指してきました」と、2代目店主は語る。

店では焼いたカツオ、さらにいぶしたウルメやサバ、イリコなど使用することでコク深い味わいを実現。だしは肉との相性もよく、柔らかい肉質でうまみの強い上質な黒毛和牛を使用したカレーうどんや肉うどんなども人気がある。

「先代は『大阪の方が好むように』と柔らかい食感にしていましたが、今は関西でもコシの強い讃岐うどんが定着。そこで若い世代の方にも親しんでもらえるように、麺の食感を変えました」とのこと。2019年に2代目が店を引き継いでから、は毎朝生地を踏み、もっちりとコシのある麺に仕上げている。伝統のだしを継承しつつ、進化を続けるこの店の味をぜひ堪能してほしい。

仕事帰りに一杯ひっかけて帰る。それが褒美たるのは、そう簡単ではないとしみじみ思う。地下鉄の北加賀屋駅から徒歩1分。ちゃんと「その日」をすてきに締めくくってくれるのが「豚珍巻(とんちんかん)」だ。

コンパクトな店内を満たす香りに「おいしい餃子が食べられる」と確信しつつ、まずはニンニクがしっかりきいた自家製の「みそキュウ」(450円)で「生ビール」(中、480円)を一杯。注文した料理を待つ間も、一見少し強面な大将と世話好きで明るいおかみとのやり取りが耳に心地よい。

聞けば、本格中華料理店で修行をしたという大将。一度別の仕事に就いたものの、料理への愛情は衰えることなく、この店を開くに至ったのが2008年だという。そこからずっと夫婦二人三脚で切り盛りしてきた。

と、ここで看板メニュー「とんちん餃子」(400円)が熱々の鉄板に乗って登場。ハフハフ言いながら薄い皮をパリッとかめば、ジューシーな肉感に青森県産ニンニクと高知県産ショウガの豊潤な香りが相まって、またもビールが進む。ちなみに、ラー油もたれも全て自家製だ。

もう一つの人気メニュー「海老餃子」(500円)は塩で。これまた塩に引き出されたエビのうま味とプリプリの食感に思わず顔がほころぶ。トロッとしたあんの「とんちん春巻き」(560円)も、具材たっぷりで食べていて楽しい。

「好きだからやってる、それだけ」と大将は語る。その純粋な思いから生まれるおいしい料理、そして店の空気感。こういう店があるからこそ、我々は明日も働けるのだ。

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JR新福島駅のすぐ南側にある薫製料理専門ダイニング。車どころか自転車1台が通るのもギリギリなほど細い、界隈(かいわい)でも特に狭い路地のさらに死角のような場所に、隠れるようにたたずんでいる。

築100年近い木造2階建てのフロアでは、歴史を感じさせる精緻な意匠の欄間といった日本のディティールと、ヨーロッパ各地から集められたアンティーク家具が不思議なほど自然に融合。まさに「ワン&オンリー」で洗練された空気感が、料理も酒も幸せに進めてくれる。

ヒット作筆頭の「燻製和牛」(120グラム3,000円)は、牛肉を目の前でダッチオーブンで薫製するだけでなく、味噌、塩、わさび、醤油といった薬味全てを別々に最適に薫製して出す入念さ。さらにハイボールなどドリンクも、ベーススピリッツを薫製して出し、妖艶かつ豊満な香りとともにサーブする……。「スモークアディクト」を日々増やしつつ、人々を幸せにトリップさせている店だ。

誰かがのれんをくぐるたび、店内に響く「まいど」の声。大阪人の多くはこの言葉で出迎えられることが大好きである。「いらっしゃいませ」とほぼ同義で使われる場合もあるが、元々は「毎度ありがとうございます」が省略された言葉。つまり、店に顔を覚えてもらっている証拠として機能する一面もあるのだ。

船場センタービル地下2階で50年以上営業を続けている「天友(てんとも)」は、そうした「毎度」足を運ぶ常連に愛される店だ。中にはウン十年前の現役時代からずっと通っているという、「元・会社員のおじさま」たちの姿も見られる。

ランチは11時から、オープンすると同時に人が入り始める。名物は「豆ごはん定食」(730円)。白に黄緑が映える鮮やかな豆ごはんは、かめばかむほど深い味わい。セットの天ぷらや冷奴、味噌汁と合わせて、ホッとできるランチライムが過ごせるだろう。

お造りや揚げ物など、日によってメニューが変わる「日替わり定食」(750円)も人気だ。冬季(11〜5月ごろ)限定で登場する「粕汁」を心待ちにするファンも多い。

15時からは居酒屋モードに変わる。店主におすすめを尋ねると「これ、といった商品があるというよりも、総合力で勝負」と一言。言葉通り全70種類以上という豊富さで、よく味の染みた「おでん」(1品100円から)といった定番ものから、サバのきずしを千枚漬けで挟んだ「かぶらきずし(しめサバ)」(550円、冬季限定)のような珍しいものまでバランスよく並ぶ。

ランチとともに、毎日食べても飽きのこないおいしさ、そして何が出てきても間違いないという安心感が長く愛される理由だろう。

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2022年に創業100周年を迎えたオムライス専門店。創業当時は「パンヤの食堂」という洋食店だったが、創業者であるシェフが常連客のためにケチャップライスを薄焼き卵で包んで提供したことがきっかけで、オムライス発祥の店として全国に知れ渡った。

京阪神に15店舗を展開する中でも、本店は一風変わった店構え。本格的な数寄屋造りの建物で、中央にある小さな日本庭園を囲むように座敷が配置されている。元々は茶屋だった建物を改装したもので、往時の意匠を生かした純和風の空間で洋食を味わう不思議なひとときが気分を高揚させる。

一番人気のメニューはスタンダードな「チキンオムライス」。具材は鶏肉、ライス、卵と至ってシンプルだ。鶏肉と一緒に炒めたライスに醤油と日本酒を少量加え、ケチャップはほんのり色付けする程度。卵はたっぷり2個分を使用し、味付けはなし。職人技で素早く包み込み、仕上げに特製トマトソースをかければ完成する。

卵の表面は見とれるほどきれいな焼き色で、内側はとろりとした半熟。一粒一粒にうま味が絡み合ったライスは、口の中でパラリとほどける。じわじわと甘味が広がるトマトソースとも相性がいい。皿に添えられた甘酢ショウガの爽やかな酸味と辛味が口直しに最適だ。

ほかにも、期間限定など約15種のオリジナルオムライスを用意している。サイドメニューの「唐揚げ」も隠れた名物なので、ぜひオーダーしてほしい。

水無瀬駅から徒歩2分のところにあるジビエ料理の専門店。シェフでありハンターでもある宮井一郎が、自身で狩猟したシカやイノシシ、カモなどをトスカーナ料理に仕立てて提供している。

自分でわなを仕掛け、獲物を仕留める宮井は、「命をいただく」というありがたさや責任を身をもって知っているからこそ「命」に対する思いが強い。獲物がわなにかかった後、長時間放置しないようにと宮井は毎朝必ず山を訪れる。そして、仕留めた後は血抜きや長抜き、ガス抜きを現場で施すのだそうだ。新鮮な状態で丁寧な処理を施すことで、驚くほどに臭みがなく柔らかいジビエが出来上がるのである。

同店では「その日一番の肉をベストな調理法で味わう」のがおすすめ。「若いイノシシ肉はこの料理がいい」「この料理は年老いたシカ肉がいい」といったように、その肉に適した料理を作ってもらうこともできるので、ぜひ会話を通してメニューを注文してみよう。

予算が決まっている場合や食べたいもののイメージがある人は、「5,000円くらいで作ってほしい」「がっつりステーキがいい」といったリクエスト方式でのオーダーも可能だ。

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かつて旧杉山家住宅の別邸として使われていた場所で営むレストラン。できる限り当時の姿を残しており、立派な庭は当時のまま。どことなく凛(りん)とした空気の流れる美しい一軒だ。

食事は、地元で採れた旬の食材を主役にした料理をコース仕立てで提供している。この場所が海から離れていることから、山の幸をメインにしているのも同店の特徴。アルコールは「箕面ビール」や「國乃長ビール」などのクラフトビールも用意しているので、最初の一杯は、大阪生まれのビールで喉を潤すのもいいだろう。

店内の照明は、和泉市にある「フレスコ」というガラス工房に特注したもの。吹きガラスで作られたランプは、一つ一つの表情が異なる。訪れた際はじっくりと眺めたい。店があるのは、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている富田林寺内町。店を出た後も風情のある街並みが広がり、食後の余韻まで存分に堪能できる。

なお、1日8人限定で要予約。週末の利用は、早めの予約がおすすめだ。

カフェ

  • カフェ・喫茶店

阪急の大阪梅田駅から東へ徒歩10分少々。大阪を代表する古民家カフェやダイニングの密集地である中崎エリアでも、ここ「カフェ太陽ノ塔 別館」は、傑出したデザイン性と存在感でリスペクトを集めている有名店だ。

エリアの死角のような、細い路地の突き当たりに現れる古民家は、外壁がバイオレットにペイントされ、どこかバンコクの名もなき下町のような風情さえもある。店舗は1~3階で、歴史を感じさせる板張りのフロアに広がる座席は計80席。最上質のポップアートのような建物や店内の装飾は、「インテリアアート」といえるほど完成度が高い。

「プリンア・ラ・モード」(1081円)や「たぬきケーキ」(604円)など、食事やスイーツ、ドリンクメニューには、どれも昭和の風情が残りつつも「グラフィカル」なたたずまいがある。あちこちの席からささやくように届くスマートフォンのシャッター音も、この店の心地よいBGMの一部になっている。

  • ショッピング

「ビーガンスイーツ」というと色合いもヘルシーなイメージが強いが、その概念を覆してくれるのが、アメリカンスタイルのビーガンスイーツを提供する「カネリータ・スイーツ」だ。

同店のショーウインドーに並ぶのは、カラフルなケーキやドーナツにカップケーキ。水色、ピンク、グリーンなどに着色したクリームの色使いはもちろんのこと、ブタの顔をあしらった「スプリンクルケーキ」や、ニンジンが描かれた「キャロットケーキ」など、そのラブリーなデザインにも胸をきゅっとつかまれる。

もちろん、牛乳やバター、卵などの動物性食品は一切使用していない。もっちりとした生地は甘さも控えめで、さっぱりと味わえるのも魅力だ。また、1週間前までの予約でオーダーケーキを注文することも可能。色やデコレーションなどの相談に乗ってくれるほか、アレルギーに対応してくれるのもうれしい。

2階には5席のイートインスペースも用意している。カウンター席に座るとちょうど目線の高さになる窓は、店の前にある公園の一部を切り取るようなデザインになっており、公園で起きているリアルタイムの出来事をまるで映画のスクリーンで見ているような気分になれるのが面白い。春にはこの窓から満開の桜も眺められる。

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  • カフェ・喫茶店

1970年オープン、大阪駅前第1ビルの地下1階にあるスペーシーな喫茶店。「宇宙」をデザインテーマにした「マヅラ喫茶店」は、クラシカルな喫茶店が多かった1970年当時から画期的な一軒として一目置かれてきた存在だ。設計は祖川尚彦建築設計事務所が手がけた。

宇宙的空間に興奮してしまう気持ちは分かるが、訪れた際は木材で作られた壁のレリーフにも注目してほしい。実は、全く同じ絵柄を手彫りした2枚の木材で透明の板を挟む仕掛けになっており、職人技が強く感じられるポイントなのだ。地下1階だと窓が設置できないが、この美しい仕切りのおかげでプライベートは保たれつつも、外から明るい光が入ってくる仕組みになっている。

メニューは「自家焙煎コーヒー」をはじめ、「フルーツサンド」や「プリンアラモード」などのデザートも充実。「純喫茶のナポリタン」や「マヅラのハンバーグサンド」といった食事系のメニューには、200円でコーヒーや紅茶が付けられるドリンクセットもあり、ランチ利用者の強い味方だ。また、実はバーとしても機能しており、スコッチの「Johnnie Walker」はボトルキープもできる。

夢と情熱、そして当時の人々の知恵と技術が詰まった空間はきっとこの先も色あせることはない。コーヒーブレイク中に、どこか遠くの惑星へとワープしてしまいそうな唯一無二の空間で一息つこう。

バーの営業時間は17〜23時だ。

  • カフェ・喫茶店

新世界のシンボル・通天閣のたもとで1967年から営業を続ける喫茶店。緑のツタに覆われた建物が印象的で、食品サンプルが並ぶ入り口のショーケースにも心が躍る。

店内を彩るのは、朱色の椅子や丸みを帯びた銀色のランプなど、レトロ感漂うインテリアの数々。新聞を片手に静かにコーヒーを飲む常連客もいれば、ガイドブックを広げて次の行き先を楽しそうに話す観光客もいる。それが、この店の日常風景だ。

ウエーター姿のネコが描かれたメニュー表を開くと、鉄板で焼き上げる分厚いホットケーキや緑色に輝くクリームソーダ、ハムや卵のサンドイッチなど、「喫茶店といえば」の王道メニューが名を連ねる。

中でもひときわ目を引くのが「プリンローヤル」。中央に控えるプリンの周りには、リンゴ、バナナ、黄桃、オレンジ、パイナップル……とあふれんばかりのフルーツが盛り付けられている。そのたたずまいは、「ローヤル」の名のごとく気品すら漂う。創業当時のレシピを守り、「柔らか過ぎず、硬過ぎず」手作りされたプリンは、口当たりは滑らかで、ミルキーな味わいの後にカラメルの苦味がふわっと広がる。

「プリン」は単品の注文もできるので、気分に合わせて選んでみよう。

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  • カフェ・喫茶店

「ピンクカワイイ(PINK KAWAII)」はその名の通り、日本が誇る「かわいい」を詰め込んだ、おとぎ話のようなアミューズメントカフェ。ピンク一色の店内は、どこを切り取ってもSNS映え間違いなしだ

内装だけでなく、フードやドリンクもポップな色合いで統一されて、楽しさいっぱい。カラフルな「ニジピザ」、ソーダの色が選べる「KAWAII クリームソーダ」、好きな写真をプリントできる「カフェプリ(ドリンク)」など、ユニークなメニューが揃う。

華やかなメイクとファッションに身を包んだスタッフたちは、どんなに気難しい人でも笑顔にしてしまうだろう。

  • カフェ・喫茶店

東梅田の地下にある1973年創業の純喫茶。ノスタルジックな店内は、隠れ家のような落ち着いた雰囲気が魅力だ。先代のオーナーが引退した現在は、2代目の息子が中心となって店を切り盛りしている。

2代目は「ジャパン ハンドドリップ チャンピオンシップ2019」で全国5位の成績を収めたコーヒーのスペシャリスト。店内で焙煎(ばいせん)するコーヒー豆は日替わりも含めて約10種。シングルオリジンのコーヒーはペーパードリップで抽出し、「温度によって移り変わる繊細なフレーバーを楽しめるように」と、たっぷり2杯分をポットで提供する。

香り高いコーヒーとともに楽しみたいのは「ホットケーキ」。注文後に専用のフライパンで1枚ずつ丁寧に焼き上げ、表面はさっくり、中はふんわりで、不動の人気を誇っている。「オムライス」や「イタリアンスパゲッティ」など、純喫茶ならではの軽食も豊富だ。食後にゆっくりコーヒーを味わう人も多い。

コーヒーと並び創業時から人気の「ミックスジュース」もおすすめ。黄桃、ミカン、パイン、リンゴの4種のフルーツと牛乳、練乳を混ぜ合わせ、トロリとした口当たりの一杯に。ミックスジュースの定番であるバナナを入れず、すっきりさわやかな後味に仕上げているのも特徴だ。

また、店頭ではコーヒー豆のほかオリジナル商品の販売も行っている。コーヒーを隠し味に使った「特製ビーフカレー」や「珈琲羊羹」など土産にもぴったり。帰り際はレジ周りの商品棚をチェックするのを忘れずに。

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  • カフェ・喫茶店

地下鉄心斎橋駅のすぐ西側、若者でにぎわう「アメリカ村」にある自家焙煎(ばいせん)コーヒースタンド。2014年のオープン以降、心斎橋にスペシャルティコーヒーカルチャーを伝道してきた店の一つとして知られている。

提供するコーヒーは20種類以上。メニューには豆の産地や生産者だけでなく、味わいの特性までカラフルなイラストで表示されている。中南米・アフリカの主要産地だけなく、中国・雲南省産やミャンマーに所有する自社農園の豆など希少品もラインアップ。抽出にはハンドドリップ以外に、エアロプレスやアメリカンプレスも活用する。

「これだけ種類があると、戸惑うお客さまも多いので、とにかくお一人お一人に丁寧に味の好みを伺って、コーヒーの味わいを説明してから淹れることを大切にしています」と語るのは、ヘッドロースター兼ストアマネージャーの中村圭太。広くない店舗だが、その空間には「ジャパンホスピタリティー」が心地よく存在しているのを感じる。
 
そんな真摯(しんし)なスタイルは、「ニューヨーク・タイムズ」などでも大きく取り上げられてきた。訪れる人の半数が外国人という日も珍しくないという「世界的人気」は、今も日々高まり続けている。

  • カフェ・喫茶店

Osaka Metro線肥後橋駅から西へ徒歩約10分。ここはワインショップと一体化したスペシャルティコーヒーの「神殿」だ。高い天井の下、661平方メートルのフロアに80席が並んでいる。

巨大な2台の焙煎(ばいせん)機を自在に扱うのは、ヘッドロースターの岩崎裕也をはじめとする「コーヒーエリート」たち。この店には、ロースティングや抽出の全国大会で優勝や準優勝など輝かしい戦果を誇るスタッフが数多くいる。

店頭に並ぶ約30種類のスペシャルティコーヒーの大半は、世界各地のコーヒー品評会である「カップ・オブ・エクセレンス」のオークションに直接参戦し、自社でトップランクの豆を落札した名品だ。

さらに驚きは、「パナマ CCD-007ゲイシャ品種」など、100グラムの販売価格が3,000円を超える最高級豆さえも店内では450円からハンドドリップして売る寛大さである。

「トップランクのコーヒーの素晴らしさと、幸せな味わいをより多くの人々に知ってほしい」という店の言葉からは異次元の情熱を感じる。そのありがたさに浴するために大阪へ向かい、この神殿を訪れる価値は十分にあるだろう。

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  • カフェ・喫茶店

世界文化遺産に登録され、日本最大の前方後円墳としても知られる「仁徳天皇陵古墳」の近くにあるカフェ。ここ堺市は千利休の生まれ故郷でもあることから「抹茶」を一つのテーマとしており、抹茶を使ったスイーツを豊富に揃えるほか、カフェでは珍しく「お抹茶」も楽しむこともできる。

看板メニューは「Co.FUNかき氷」(1,100円)。ふわふわの氷の上にたっぷりと乗った「抹茶エスプーマ」は甘さ控えめで、食後でもペロリと食べられてしまう味わいだ。1日10食限定で、電話とInstagramのダイレクトメッセージで予約を受け付けている。味わう際は「仁徳天皇陵古墳」をイメージしたというオリジナルの器にも注目してほしい。

そのほか、「抹茶シュガートーストセット」といったモーニングや、古墳型の器で楽しむランチメニュー、抹茶を用いた「利休 生ビール」など、さまざまなシーンで利用できるメニューの幅広さも魅力。テラス席は、愛犬と一緒に過ごせるという点もうれしいポイントだ。なお、18時からは完全予約制での営業となる。

訪れた際は、店の入り口付近で販売している古墳や埴輪(はにわ)グッズも必見。臨時休業の場合もあるので、事前にInstagramで営業状況をチェックしておこう。

  • カフェ・喫茶店

日本で2人しかいない女性日本茶鑑定士の田村千夏がプロデュースする、日本茶カスタムティーカフェ「水滴々」。同店では鹿児島県南九州市産のブランド茶「知覧茶」や、福岡県八女地方で生産されている「八女茶」などの上質な緑茶に、ディルやオレンジなどの素材をミックスしたカスタムティーが楽しめる。

また、抹茶やほうじ茶などを練り込んだクレープから、変わり種の「抹茶ビール」などを提供。日本茶の多彩な楽しみ方を提供している。

店内には茶室をイメージした畳のエリアがあり、茶室体験もできる。坪庭を眺めながら、ゆったりとお茶をたてる贅沢なひとときを過ごしてみては。

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  • ショッピング

戎橋筋商店街にある1945年創業のアイスキャンデー専門店。半世紀以上にわたって変わらない味を提供し続けており、大阪土産としても人気が高い。2階にはカフェも併設。現在実店舗はここだけだが、百貨店での催事出店やオンラインでの販売も行っている。

創業当初からロングセラーを誇る「ミルク」「あずき」「パイン」をはじめ、「オレンジ」「イチゴ」「ココア」などフレーバーは10種。甘味料は使用せず、白双糖(しろざらとう)を加えるため上品な甘さで後味はさっぱりとしており、冷たくて喉越しのよい爽やかな味わいに仕上がっている。

アイスキャンデーは創業時から同じ製法を守る手作り。例えば、北海道・十勝産の上質な小豆をたっぷり味わえる「あずき」は、専用の釜でじっくり炊き上げ、小豆の量が均一になるよう充填(じゅうてん)前にかき混ぜるといったひと手間を忘れない。こうして1本ずつ丁寧に、1日約3500本ものアイスキャンデーが製造されている。

さらに、アイスキャンデーの棒にもこだわる。奈良県・吉野産のヒノキを利用した専用の棒は香り豊かで、口に入れても安心。棒を集めて入浴剤として再利用する人もいるとか。棒が斜めに刺さっているのは、食べている途中でアイスキャンデーを落としにくくするため。食べやすさにまでこだわった愛情たっぷりの一本だ。

営業時間は変更になることがあるので、公式ウェブサイトで事前に確認してほしい。

バー

大阪メトロの玉造駅近く、長堀通沿いに位置する店の入り口から見えるのは、明るい時間帯から賑わう開放的なコーヒースタンド。ところが店の奥に進むと、突然隠し部屋のようにレコードバーが現れる。

この非日常的な空間で目に入ってくるのは、高さ約2メートルの尖塔(せんとう)のような異形のビンテージスピーカー、マッキントッシュXRT-25。16のツイーターが縦に並ぶ、独特な構造になっている。

30代の、オーナーでありバーテンダーの中川慶祐がかけるのは、全てアナログレコードだ。レコードコレクションは約1500枚あり、90年代以降のヒップホップ、アメリカと日本のインディーズを中心に、藤井風などのJ-POPまでをカバーしている。「レコードには、CDにはない音の色っぽさがあり、一枚通して音に向き合える」と中川は言う。

飲み物は、クラフトジンが約50種類あり、品ぞろえが充実。その約半分が日本産で、貴重な辰巳蒸留所のジンだけで10種類、宮崎の「尾鈴ジン」など希少品もあり、どれも良心的な料金で提供している。

奥のレコードバーで心地よい音と酒を味わうのもよし、表のカフェで音楽談義をするのもよし。ここでは、気分に合わせた楽しみ方ができそうだ。営業日時は日によって異なるので、訪れる際は店のInstagramをチェックしてほしい。

  • イタリア料理

心斎橋駅から徒歩10分ほどの場所にある、ダイニングを併設したアーバンワイナリー。2階のダイニングフロアから見下ろせるのは、1階にあるワイン醸造所の巨大タンク。まさにその場で、発酵、熟成しているワインの息遣いを感じながら食事が楽しめる。

サーブされるグラスワインは、ヨーロッパ各国産も含め約15種類(550円から)で、そのうち約3分の1が日本ワイン。もちろん、1階の醸造所で造られた自社ワインも欠かさずラインアップされる。自社ワインはボトルでの購入も可能だ。

「日本ワインは、ブドウ栽培が難しい気候の国でチャレンジを続ける生産者のガッツと心意気が伝わるのが魅力」と語るのは、ソムリエの河端浩史。この二つは、河端が選ぶ全てのワインから雄弁に伝わってくる。

写真の「大阪千両ナスのクロスティーニ、ヤギのフロマージュブランとイチジク」(1,200円)などの前菜、パスタ、メインまで充実のイタリアンのアラカルトメニューは、どれもが超一流トラットリアのレベルにある。ワインのみならず、料理にも大いに期待して、島之内に向かおう。

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谷町六丁目駅から徒歩5分のところにある、潜水艦を模して造られたバー。鉄の扉を開け、一歩足を踏み入れると、そこはまるで別世界だ。

なぜこのような内装にしたのかを尋ねると、「潜水艦やスチームパンクが特別好きだったわけではないですが、こういった空間で人と向き合ったり、触れ合ったりしたかったのです」とのこと。マスターおすすめのジントニックをたしなみながら、この空間をじっくり堪能しよう。

最後に、トイレも期待を裏切らないクオリティーの高さなので、足を運んだ際は忘れずにチェックしてほしい。

大阪の都心部を悠然と流れる​​堂島川と土佐堀川に挟まれた中之島にそびえる、老舗ホテル「リーガロイヤルホテル」。 世界各国の国家元首や国賓を数多く迎えたこの由緒あるホテルの1階に、1965年にオープンしたオーセンティックバー「リーチバー」がある。

店名は、イギリス人の世界的な陶芸家であり、日本の民芸運動との関わりが深いバーナード・リーチに由来している。リーチはこの店のフロアデザインを構想。「民藝運動の父」である柳宗悦のアイデアも反映され、最終的にはホテル設計者で建築家の吉田五十八が具現化した。

店内にはリーチの作品のほか、河井寛次郎、濱田庄司、棟方志功などの著名な芸術家の作品がさりげなく飾られ、美術ファンも全国から多く訪れる。

チーフバーテンダーである影山清史は、「第28回H.B.A. CLASSIC 創作カクテルコンペティション・チャンピオンシップ」でグランプリに輝いた人物。同大会の4部門のうち「接遇審査 最優秀賞」「創作カクテルコンペティション 最優秀技術賞」を同時に受賞するなど、輝かしい経歴を持つ腕前だ。開業時から変わらぬスタイルで受け継がれてきたリーチバーの名物カクテルである銅製のカップに入った「ジントニック」は、このバーを訪れた世界のセレブリティに愛され続けている。

この店にはBGMがない。開業以来、50年以上使い続けられる流麗な曲線美を描くウィンザーチェアなどが並ぶ静かな空間を包むのは、このバーの歴史の重みを感じさせる「りんとした空気」といえるだろう。

大阪駅から無料送迎シャトルバスがあるのもうれしいところ。16~24時(L.O. 23時30分)の営業時間は当面の間のもので、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、各テーブルには飛沫防止パネルが設置されている。

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天満にあるワインショップとレコードショップ、そしてレコードバーを兼ねる店。一見しただけでは分からないが、店の奥にある大きな本棚が隠し扉となっていて、それをゴロゴロと動かした先にラグジュアリーなラウンジ風レコードバーが、まるで忍者屋敷の隠し部屋のように現れる。

「レコードもワインも、手間がかかるところに愛着が湧きます」と、オーナーでソムリエの野口一知は語る。「ラックスマンの真空管アンプMQ-50は、音に奥行きが出るので、この空間に合っていると思います」。店でかけるのは 、60~80年代のジャズ、ソウル、ブラジルなど。時折、J-POPなどもアクセントとして加えている。

野口は、天満にあるイタリアンの名店「スフィーダ」のソムリエを務めていたこともあり、自然派を中心にした約7種のグラスワイン(900円から)など、ワインのセレクトにもこだわっている。「よもぎ麩田楽」(700円)といった、日本の家庭料理も味わい深い。軽く寄るつもりでも、つい長居してしまいそうだ。

レコードバーの営業は不定期なので、訪れる際は事前に問い合わせをしよう。

2018年にオープンした、中崎町駅近くにあるブリューパブ・ダイニング。店内奥で醸造されるサワー IPAや、「ロブストポーター」といった出来たてのクラフトビールが6種類ほどタップで楽しめる。

店のもう一つの魅力は、関西では数少ない豪快なテキサスバーベキューを堪能できること。 ハーブとスパイスで8時間マリネした後、さらに時間をかけてスモークとローストを繰り返す「ブリスケット」や、ほろほろに柔らかな「プルドポーク」など、どのメニューもビールを飲む幸せを倍増させるパワフルなおいしさがある。

ビールは肉料理に合うよう、比較的ボディー感とホップの苦みをきかせたものをラインアップ。バーベキューメニューに合わせるのであれば、まずは「酒池肉林ペールエール」がいいだろう。最強のマッチングにエキサイトするはずだ。

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