MARADONA RECORDS
Photo: Akira Okimoto
Photo: Akira Okimoto

大阪、レコードショップ8選

オールジャンルを扱う店舗から個性派まで紹介

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東京は世界的にもレコードショップが多いとされているが、ここ大阪も忘れてはならない。「ディグ」目的で旅する価値のある、個性的なレコード店が揃っている。

オールジャンルを扱いビギナーから玄人まで満足できる店舗や、ワールドミュージックという定義がまだなかった頃から現地で買い付けをしていたヴェニュー、老舗から独立した若き店主によるレコード店など、探し求めていた1枚に出合えるかもしれない。

思いがけない発見やスタッフのレコメンドも醍醐味のレコードハンティング。1日と言わず、くまなく巡りたい。

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  • ショッピング

今はスマートフォン一つで世界中の音楽が聴ける時代だが、「サブスク」の外に広がる音楽の世界はもっと広大で奥が深い。ワールドミュージックという沼、その入り口にして沼底のようなレコードショップが、心斎橋のアメリカ村にある「プランテーション(Plantation)」だ。

店内には、インドネシアをはじめ、タイ、ベトナムなどのアジア圏からブラジルまで、世界中のレコードやカセットテープが並ぶ。店主はワールドミュージックが一つのジャンルとして定着する前から世界各地へ足を運び、現地で買い付けを行ってきた。独自かつ確かなセンスによってセレクトされた「音盤」の中には、国内では同店でしか入手できないものも多い。

近年特に注目しているのは「多くの音楽家が、以前からそのオリジナリティーに注目してきた」というミャンマー音楽だ。また、インドネシアの伝説的シンガーソングライター、ハリー・ルスリの名作「ティティック・アピ(発火点)」がCD化された際には、邦訳歌詞と解説を付けて同店がディストリビューションした。

付け焼き刃的な検索だけではたどり着けない、ヒップなアジアンポップスやワールドミュージックの世界。まずはこの店を訪れ、耳から旅をしてみるのはどうだろうか。

  • ショッピング

アメリカ村にある中古レコード店。店主は、ヒップホップに強い「VINYL7 RECORDS」の大阪店でキャリアをスタートして海外への買い付けなどを担当し、独立後の2010年に「Groovenut Records」をオープンした。主にアメリカで仕入れたソウルやファンク、ジャズ、ディスコ、ヒップホップ、ラテンなどの名盤やレア盤を揃える。

中でも注目したいのが、レアグルーブ系アイテム。周囲に同ジャンルを得意とするレコード店が立ち並ぶ激戦区に位置しながらも、ヒップホップの元ネタやトラックメイキングに使えそうなアイテムをしっかりラインアップしていることが、買い手にとっての信頼、店にとっての個性を生んでいるのだろう。

ただ、店主に言わせれば「音楽好きはジャンルに拘泥しない」そうだ。純粋に「いい音楽を聴きたい」のだと言う。だからジャンルや目線の強みはありながらも、クロスジャンルでの定番や人気作品のストックも欠かさない。

客層はDJをはじめ、これからアナログの世界に足を踏み入れる人までさまざまだ。「いい音楽」だけでなく「音楽の楽しみ方」まで教えてくれて、ビギナーにも優しく親切に、マニアックに音楽世界を広げてくれる名店といえるだろう。大阪を訪れたら、行かない手はない。

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  • ショッピング

日本三大電気街の一角であり、西日本のポップカルチャーの聖地でもある大阪・日本橋の「オタロード」沿いにある中古レコード店。セール盤の入ったダンボールが並ぶ店先には、「名盤、珍盤、掘り出し物が見つかる店」「御買得品大量品揃え」「音の宝庫」といったストレートなパンチラインが掲げられた電飾スタンド看板が立つ。ここでは、かつては誰もが当たり前に通っていたいわゆる「街のレコード屋さん」が体現されている。

「レコードショップナカ」は1990年ごろに1号店をオープンしたが、2011年に閉店。現在は1995年頃に始めた2号店のみ営業を続けている。品揃えはオールジャンルだが、ひと際目立つのは日本の歌謡曲、アイドルもの、演歌、ロック。客の持ち込みを買い取るスタイルが多いので、地元の音楽文化を商品構成から透かして見るのも楽しみの一つだろう。

店主は元々洋楽に精通していたが、店にいるうちに気が付けば「和モノディガー」に。その手腕の一端は、ブログというオールドスクールな形式で遺憾なく発揮されているので、要チェックだ。

カルチャーという横文字が作る取っ付きにくさやその筋の店が醸す独特の緊張感……。それらは、レコードリバイバルが叫ばれる昨今でも、気軽にアナログ盤に親しみたい人の前に高く立ちはだかっている。だからこそ、「レコードショップ ナカ2号店」に出合えた喜びは大きい。

  • ショッピング

ミナミのメインストリートの一つである心斎橋筋商店街。以前から百貨店やハイブランドの路面店が並ぶ商店街の向かいのエリアへ、1970年代後半に生まれたのが、若者のエリアであるアメリカ村(通称・アメ村)だ。大阪の老舗レコード店「KINGKONG アメリカ村本店」はここに1979年に創業し、街の顔となり変遷を見守ってきた。

今では、アメ村に店を構えるレコード店も数えるほどになったが、オールジャンルのレコードを取り揃える店として普遍の存在。場所だけで言えばアメ村内で移動はしたものの、下は小学生から上は80代の大先輩までこの店へ通う様子は変わらず、ストリートの住人たちから愛されている。

レコードとCDを合わせれば、店内に並ぶのは約5万枚。大きく分けると16ジャンルの棚には、週に250〜300枚、月にすれば1000枚ほどの新商品が届き、そのほとんどがもちろん一点もの。ディグらずにはいられない。なかでもCLUB MUSICやHIP HOP、ROCK POPSが多いのはアメ村住人たちからの買取商品も多い所以だ。コロナ禍以前は海外のレコード店から仕入れに来た客も多かったと言う。レコード愛好家はもちろん初心者だって、この世界の広さを前にレコードの魅力に浸からずにはいられないだろう。

店主の回陽健太は、初代オーナーの息子。「この街に残り続けている店として、父が始めた初期の頃の雰囲気や、昔からの“レコードを探す楽しみ”を変わらず感じられる場所でいたい」と語る。アメ村の現在を、ここで見て聞いて感じてほしい。

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1990年代からデザイナーが集い、感度の高いカフェやアパレルショップが立ち並ぶ個性的な街の南船場。同地に店を構えるレコードショップがただ者であるはずがない。

敏腕音楽ライターをして「日本のほかの店で見かけたこともない」と言わしめる独特過ぎるラインアップで時流の先を進み続ける「Revelation Time」は、その筆頭。イギリスの音楽メディアVinyl Factoryにおいてベストレコードショップに選出され、世界的に知られるDJも、来阪すると音源チェックのために立ち寄っている。

店主のエイジは店舗での下積み時代を持たず、完全に個人で同店をオープンさせた。初めはアメリカやヨーロッパを中心にしていた買い付けだが、最近は韓国や台湾などアジアにも足を延ばし、日本や西欧では流通していない音源を掘り出すなど探索に余念がない。とはいえ先進的過ぎるセレクトは好きなものとして控えめに。レゲエ、ハウス、和モノがラインアップの中心となる。

DJとしても活動するエイジ。ジャンルを横断したプレイでフロアの観客に新しい音楽を浴びせるように、いつ行っても未知の作品と出合う歓喜を味わうことができる。店を信頼してエイヤ!と買って後悔しない。人は、そんな店を名店と呼ぶ。情報ではなく感覚で音楽と出合えるのだから、アナログビギナーも背伸びをして出かけてみては。

  • ショッピング

2000年、心斎橋・アメリカ村に誕生したレコード店。ジャズ、ソウル、ラテン、ブラジル、レゲエ、ロック、和モノなど幅広いジャンルを扱う。店主は元々ヒップホップ好きで、元ネタや生音系に触れてきた結果、今のセレクションに自然発生的にたどり着いたという。海外盤は、店主が定期的にアメリカなどで自ら買い付けている。

仕入れるのは、定番やレア盤だけでなく店主の感覚で「おもしろそう」と思って選んだものも。そうして「発掘」されたアイテムも並んでいるがゆえに、ビギナーからマニアまで納得の一枚を見つけることができるのだろう。

レコード店の激戦区に位置しながら、幅広い音楽ファンから支持を得た結果、21年には梅田「ヌー(NU)茶屋町」の5階に2店舗目をオープンした。ぜひとも、キタ、ミナミの両方の「VOXMUSIC」に足を運んでほしい。

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心斎橋駅を出てすぐ、ピンク色の看板が出ているビルの細い階段を3階まで上がると、ジャケットのコラージュや手書きのポップ、昔ながらの「バンド仲間募集」のチラシが貼られた店の入り口が見える。その先に所狭しと並ぶのは、1960~70年代のロックやソウル、ブルースを中心としたオールジャンルのアナログレコードやCDだ。

オープンしたのは、1989年。多くのレコード店が集まるアメリカ村とは御堂筋を挟んで反対側の東心斎橋エリアから、30年以上も一帯の音楽カルチャーを見守ってきた。時代が変わった今でも、良盤を求めて訪れる人が絶えない。

その理由は、店主の知識と経験で丁寧に選ばれ、値付けされた商品にあるといえるだろう。ちまたで高騰しているアイテムに手頃な価格でポロッと出合う、なんてことがあるのも、ここでは少なくない。

この店にはオンラインショップはない。リアルの体験として足を運び、これぞという音盤を見つけてほしい。店を後にし、階段を降りる時の満足感は、ひときわ大きくなるはずだ。

  • ショッピング

下町情緒あふれる空堀商店街があり、数々の長屋が並ぶ谷町6丁目(通称「谷六」)。近年、若者による新店のオープンが増えているが、2021年についにレコード店がオープンした。その名も「MARADONA RECORDS(マラドーナレコーズ)」だ。

店主は、大阪の老舗レコード店「KING KONG アメリカ村店」の出身。レコードを好きになったきっかけは、イギリス南東部の街・チチェスターで暮らしていた高校時代だという。通っていた地元のレコード店の店主から、ブラックミュージックやヒップホップ、ファンクなどを教えてもらううちに、自身もレコードの魅力にどっぷりとハマっていったそうだ。

「漠然といつか店をやりたいと思っていました。コロナ禍で外にいけなくなった時に、音楽を聴いて元気になってほしいと思って」とオープンした経緯を語る。オールジャンルの店を目指し、初めは自身のコレクションから商品を並べ、現在はLPレコード約2000枚、7インチが約400枚、CDが約400枚ほど揃う。

ビンテージのマッキンアンプを通した環境で試聴ができるのも、同店の魅力。買い取りをしてくれるのはもちろん、ほしいレコードの注文も受け付けてくれる。年配の人からのオーダーもあるといい、見知らぬ客同士の交流も当たり前だ。若者も年配もフラットに交流できるのが谷六の魅力だが、その姿をここでも目にすることができるだろう。

もっと音楽をディグるなら......

  • 音楽

店頭で音楽を探す醍醐味(だいごみ)。それは、不意の導きや出会いがあふれていることだ。たまたま手に取ったジャケット、その時かかっていた新譜、店員との雑談から出てきた一枚など。スマホアプリのアルゴリズムが導く出会いとは異なる、不意の感動がそこにはある。

東京は世界でも有数の巨大なレコードコレクションを抱えた街であり、渋谷下北沢といったレコードショップ密集地帯だけでなく、各所に優れた店が点在している。本記事では、ビギナーでも楽しめる店からプロ御用達の店まで、さまざまなスタイルのレコードショップを紹介する。

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  • 音楽&エンターテイメント

演劇、グルメ、ファッション、そして音楽。雑多なカルチャーが寄り添うように共存する街、下北沢では、レコードショップの名店も多い。

ここでは、海外からも客がやってくる老舗の名店や、ここ数年でオープンした魅力的な新店、ノイズ・アンビエントや辺境音楽などをそろえるマニアックな一軒、クラブDJ御用達の一軒まで、個性豊かなレコードショップの数々を紹介する。

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音楽ファンの間では、サブスクリプションサービスが普及する一方で、レコードを嗜(たしな)む人も増えている。インテリア感覚で買ってみたら、音質の良さにハマってしまったというパターンも多いとか。いよいよレコード愛に目覚めたら、盤を買い求めるのはもちろん、一緒に楽しむ仲間もほしいところだ。

ここでは、ただのレコードショップではなく、バーを併設しているヴェニューを紹介する。試聴したり音楽について語り合う喜びも、酔いが回るとひとしおだ。

  • ナイトライフ

多種多様な人が集まる東京の夜は、たくさんの選択肢がある。ふと、いい音楽を聴きながら酒を愉しみたいと思った日には、DJバーに行こう。

どんな夜を過ごしたいかは人それぞれ。特集では平日もDJがターンテーブルに盤を乗せ、オーディエンスを盛り上げている店や、店主が密かにセレクトする音楽とともにしっとりと飲める店など、渋谷界隈の名店を紹介する。

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  • 音楽

針で引っかいて音を出すというアナログなレコードの手法に、ジャズの音は非常に合う。そして、そこにアルコールが加われば言うまでもない。

本記事では、モダンやニューオリンズジャズを流す老舗はもちろん、フリーやDJカルチャーを通過した新時代のジャズを流すヴェニューも紹介。ジャズという音楽の奥深さにきっと気づかされることだろう。もちろん深いことは考えず、ただ音に身を委ねるのも一興だ。本記事で新たな出合いがあることを願う。

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