万博記念公園
2018年3月19日、48年ぶりに内部が公開された太陽の塔。大阪万博閉幕後、内部は長い間扉を閉ざしていたが、晴れて常設の展示施設に生まれ変わった。塔内では、復元された『地底の太陽』や、約40メートルの生命の樹などを見ることができる。岡本太郎の偉大さを感じずにはいられないだろう。
定番からローカルスポットまで、2日間で大阪を遊び尽くす
西日本最大の街、大阪。大阪城やユニバーサルスタジオジャパンなど、見どころ満載の大阪はすでに観光地としても大人気のエリアだが、今年は、20年ぶりの日本での開催となる国際博覧会「大阪・関西万博」があり、より盛り上がりを見せそうだ。
もちろん、定番スポットを巡るだけでも十分楽しめる街ではあるが、せっかくならば地元の人も足繁く通うローカルスポットや、ユニークなヴェニューなど、もう一歩ディープな大阪ものぞいてみたくはないだろうか。
ここでは、道頓堀や法善寺横丁などの定番はもちろん、エッジの効いたアイテムを販売するショップや潜水艦を模したバー、話題の大衆食堂など、さまざまなジャンルのヴェニューを「48時間で楽しめる大阪ガイド」として紹介する。大阪旅行のプランをたてる際に、参考にしてもらえたらうれしい。
万博記念公園
2018年3月19日、48年ぶりに内部が公開された太陽の塔。大阪万博閉幕後、内部は長い間扉を閉ざしていたが、晴れて常設の展示施設に生まれ変わった。塔内では、復元された『地底の太陽』や、約40メートルの生命の樹などを見ることができる。岡本太郎の偉大さを感じずにはいられないだろう。
うさみ亭マツバヤ
100年以上続く老舗うどん店。ここでは、名物の「おじやうどん」を頬張ろう。「おじやうどん」は、生卵にアナゴ、シイタケなどが入った具だくさんな鍋うどんに、米まで入った一品。古い日本の日常を感じさせる小さな名店だ。
囲茂庵
松屋町の古い町屋をいかして造られた複合施設「れん」。大阪市の中心地にありながらもゆったりとした時が流れるその一画に、クレープ屋兼カフェの「囲茂庵」がある。見えるのは、童心にかえって「クレープくーださい!」と店頭で言いたくなるような、木枠の小窓。丁寧に1枚ずつ焼き上げられていく数分間は、現代には珍しく待つことを愛おしく感じられる時間といえる。
聞けば、店主は元々は若者の街・アメリカ村でクレープ店を営んでいたそう。生地だけでなく生クリームやカスタードも手作りのクレープは500円(以下、全て税込み)からで、定番の「生チョコバナナ」も550円で楽しめる。
イチゴやクリなど、旬のフルーツを使用した季節限定のクレープも人気が高い。しっかりとボリュームがある一方で、生クリームはふんわりとした軟らかな甘さが特徴的。30年以上たった今でも、アメリカ村時代の客が「やっぱりここのが一番」と訪れてくるというのも納得だ。
自家製の梅シロップで作る「梅ソーダ」(700円)など、店内で食べられるフード&ドリンクメニューも充実している。おすすめは「ハッシュドビーフライス」(サラダ付・800円)で「子どもを連れてきても食べられるように」という言葉通り、丹精込めて作られた優しい味わいが体に染み渡る。まるで理想的な実家のように、ホッと一息つける空間が都心にあるのはうれしいことだ。
デリ
本町駅から徒歩7分ほどのアートニクスビル3階にあるショップ。洋服やキャップ、アクセサリー、バッグなど、国内外のアーティストやデザイナーが手がけた様々な商品を販売する。大人顔負けの洒落た子供服を集めた『子供服展』や、個性豊かなトートバッグを豊富に揃えた『トートバック展』など、定期的に開催されているイベントも魅力的。エッジの効いたアイテムを求めている人に、ぜひ訪ねてほしい一軒だ。
道頓堀 赤鬼本店
道頓堀のたこ焼き店。1998年5月に谷町九丁目で創業し、十数年前から現在の場所で営業している。「ノービーフ・ノーポーク」を掲げ、またミシュランガイドの「ビブグルマン」に3年連続で選ばれていることもあり、海外からの観光客も多く訪れる。
たこ焼き(8個720円、以下全て税込み)には、ゆでダコではなく生ダコを使用。生地の中でじっくりと火が通されることで香りや食感、うまみが出るためだ。タコのおいしさを味わってもらいたいと、紅しょうがもネギも入れない。仕上げにかけるのはソースか塩で、マヨネーズも用意しないという徹底ぶりだ。
創作メニューもタコのうまみを生かしたものばかり。温かいかつおだしに浸した状態で提供される「ちゃぷちゃぷ」(6個680円)のほか、夏季限定でなんと、かき氷とたこ焼きを組み合わせた「氷りゃ氷りゃ(こりゃこりゃ)」(6個680円)なる珍品もある。
氷りゃ氷りゃに添えられているのは和風つゆ。氷に上に乗せられたワサビを溶きながら、ざるそばのように食べる。餅米粉と砂糖でできたカラフルな香川県の郷土菓子「おいり」がちりばめてあり、見た目も味わいも独特だ。たこ焼きは氷と食べることで生地のモチモチ感が際立ち、アツアツゆえの温度差も楽しく味わえる。
道頓堀
定番中の定番だが、はじめて大阪に行くのならば、やはり道頓堀には行っておきたい。名物のグリコの看板に、くいだおれ太郎、ド派手な看板など、テーマパークに来たような、大阪らしい雰囲気を味わえるだろう。
大衆食堂スタンド そのだ
昔ながらのノスタルジックな雰囲気を漂わせるたたずまいと、メニューは現代的にアレンジした大衆食堂。今では東京や福岡に進出した人気店だが、本店は大阪・谷町の空堀商店街にある。
メニューはジャンルにとらわれず、名物の「チャーシューエッグ定食」(880円、以下全て税込み)などの定食類もあれば、「中華そば」(968円)や「ナポリタン」(858円)といった麺類もある。
また、「ラム串」(1本180円)や「肉豆腐」(715円)、「メンチカツ」(418円)といった居酒屋メニューをあてに酒も飲める。チャーシューエッグも単品で注文できるのが、うれしい。
メニューが豊富なのに加え、価格がリーズナブルなのも魅力だ。本店でもランチに、昼飲み、二軒目にと、活用してほしい。
深化
大阪には、こんなにもユニークなバーがある。谷町六丁目駅から5分ほどのところにある深化は、潜水艦を模して作られたバー。鉄の扉を開け、一歩足を踏み入れると、そこはまるで別世界だ。なぜこのような内装にしたのかを尋ねると、「特別、潜水艦やスチームパンクが好きだったわけではないが、こういった空間で人と向き合ったり、触れ合ったりしたかったから」とのこと。マスターおすすめのジントニックをたしなみながら、この空間をじっくり堪能しよう。最後に、トイレも期待を裏切らないクオリティの高さなので、足を運んだ際は忘れずにチェックしてほしい。
梅田珈琲館 YC
2日目は、1968年にオープンした純喫茶から始めよう。「新梅田食道街」のJR大阪駅側にあり、同じく「食道街」の阪急大阪梅田駅側にある「梅田珈琲館ニューYC」とともに、半世紀以上大阪の人々に愛されている。店名の「YC」とは、店を始めた業務用コーヒーの販売会社である「山本珈琲(Yamamoto Coffee)」が由来だ。
店は、趣のある1階エントランスから階段を上がった2階に広がる。古民家をイメージしたという店内の棚の上に並ぶのは、オーナーがヨーロッパなどで集めたという古いコーヒー関連の器具。これらが醸し出す「いい風合い」は、長く続いている店だからこそ感じられるものだろう。
ゆったりとした雰囲気の中で楽しめるのは、コーヒーをはじめとする各種ドリンクやサンドイッチ、プリンなど。ほとんどのメニューは梅田珈琲館ニューYCと共通だが、いくつか店限定のものもある。
例えば「カツサンド」は、梅田珈琲館ニューYCがデミグラスソース味なのに対し、梅田珈琲館YCは八丁味噌を使った味噌味だ。限定メニューを求め、2店をはしごするというのもいいかもしれない。
ボヤージュ キッズ
新世界市場内に店を構えるZINEショップ。店舗を構える前は、トラックで日本各地に赴きZINEを販売していたという、ユニークな経歴も持つ。取り扱うアイテムは、オーナーが自分の足で繋がりを作ったというアーティストのZINEをはじめ、オリジナルの洋服やレトロなステッカーなど。大阪の人気観光地のひとつ、新世界に店を構えていながらも、観光客に媚(こ)びないクールさが異彩を放っている。
エッジ ザ ハルカス
日常にスリルが足りないと感じている人は、あべのハルカスの展望台、ハルカス300へ。2018年3月7日に誕生した『エッジ ザ ハルカス』は、地上300メートルのビル最頂端部に設置されたデッキの上を、命綱を装着して歩くという約7分間のアトラクションだ。横幅は約60センチ、長さは20メートル。展望台からガラス越しに見る景色でさえ大迫力なのに、360度何もさえぎるものがない状態で、眼下に広がる街並みを眺められるとあっては、想像以上のスリルと感動を得られることだろう。
日之出湯
再開発によってすっかりオシャレになった天王寺・阿倍野エリア。しかし、ワンブロック中に歩みを進めれば、このエリアの居住区としての風景に出合うことができる。大きな煙突を見つけたら、まずはリフレッシュするが吉。そこにあるのは、美容と健康がテーマの「日之出湯」だ。
入浴料金を支払って、スタンダードジャズが流れる小粋な脱衣所に入る。目を見張るのは、天井を悠々と泳ぐ108匹のコイ。この作品は京都の「ロックな」壁画家・木村英輝によるもので、浴場に向かうテンションを高めてくれる。
中に入ってからもうれしい驚きは止まらない。水素露天風呂や黄金に輝く水風呂、強めの刺激がやみつきになる電気風呂など、個性的なラインアップが迎えてくれる。さらには群馬県の名湯・伊香保温泉を再現した薬湯もあり、都会にいながらプチ旅行気分も味わえる。
富士山の溶岩を用いたフィンランド式サウナは、「サウナー」にはたまらない110度という高めの温度設定(男湯)。ここはワンコインで心も体も満たされる、湯のテーマパークと言っても過言ではないだろう。
さらにここは「美容銭湯」をうたっているだけあり、「枇杷蒸し」(30分 1,600円)や高気圧酸素カプセル(70分2,000円、入浴付き)などのオプションサービスも充実。大阪に来たら外せない銭湯の一つだ。
黒門市場
今や観光名所となった黒門市場は、大阪観光をしているというよりも、海外旅行をしているかのような気分になるスポットだが、販売されている商品を口にすれば、「大阪の台所」として、長年多くの人の胃袋を支えてきた市場の偉大さを感じられることだろう。ぜひ味わってほしいのが、串誠という店で提供されている『串誠バーガー』。丸ごと揚げたソフトシェルクラブ(脱皮したてのカニ)がサンドされたメニューで、インパクトも絶大だ。タルタルソースに入ったしば漬けも、良いアクセントとなっている。
結音茶舗
昼はカフェ、夜はバーとして営業する日本茶専門店。レトロビルの一室にあり、ギャラリーとしても使用されている。こだわり抜かれた茶葉は、京都宇治から取り寄せたもの。日本茶を使ったオリジナルカクテルなどもあり、ほかでは味わうことのできない日本茶体験ができる。
法善寺横丁
大阪の風情を体現する横丁。老舗日本料理店やバー、お好み焼き店、串カツ店など、数々の名店が揃う。古くから大衆小説に書かれ、流行歌に歌われてきた横丁で、大阪商人の心が息づいていると言えるだろう。
心の花 くしよし
難波の「道具屋筋(千日前道具屋筋商店街)」裏にある、串料理と一品料理がリーズナブルに楽しめる店。店名に「くし」とあるが、串カツや串焼き以外にも豊富な「あて」を揃えている。大阪市生野区出身の店主が生野で創業し、12年間営業を続けた後、2013年に現在の場所へ移転した。
人気メニューは、大阪の名物番組でも注目の逸品として紹介された20食限定の「えびチーズ」(890円)。大ぶりのエビを串に刺して揚げ、豆乳とモッツァラチーズをたっぷり使ったソースに沈ませて食べる。とろとろのチーズが垂れる様子に思わず笑みがこぼれる。2尾入ってこの価格とは驚き。リピーターが多いのにも納得だ。
「月見つくね」(600円)も見逃せない。ハンバーグかと思ってしまうほどの手のひらサイズのつくねは炭火で焼かれ、フワッとした食感で濃厚な卵の黄身との相性がとてもいい。
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