北加賀屋駅を出て、大通りから工場が立ち並ぶエリアへと歩みを進める。10分ほど歩き辺り一帯が工場や倉庫に囲まれて「本当にこんなところにクラブが?」と疑心暗鬼になりかけた頃、目印ならぬ「耳印」を捉えたらもう近い。すぐにズンズンという重低音の震源地「クラブ ダフニア(club daphnia)」が見つかるだろう。
中に入ると、オーナーの2人が前店舗の解体から音響・照明機材の設置に至るまで、全てをDIYで創り上げたこだわりの空間が広がる。音質は大阪でも随一との定評があり、国外・県外からプレイを熱望するアーティストも多い。
これまでオーディエンスを沸かしてきたアーティストの中には、エレクトロニック・ミュージック・シーンのレジェンドであるモーリッツ・フォン・オズワルドや、大阪を拠点に活動する世界的な音楽家である日野浩志郎のソロプロジェクトのYPYなど、一筋縄ではいかない個性派も多い。
隔月で行われている名物イベント「Diagram」では、金曜日の夜から日曜日の朝まで30時間連続でテクノ音楽に身を任せることができる。ここに足を運べば、きっとこれまでに味わったことのない音の世界が体験できるはずだ。
さらにうれしいのが、ドリンクなどの良心的な価格設定。アルコールドリンクは500円(一部除く)で、ソフトドリンクや自家製ラムレーズンがけのバニラアイスは300円で楽しめる。
そう、ここは音楽好きの楽園なのだ。踊り疲れた体を引きずって出口のドアを開く帰宅客。朝日に照らされた幸せそうな顔が何よりの証拠だろう。