学生時代から飲食一筋である伊東亮哉が、「虹の仏」をオープンしたのは2012年のこと。「好きが高じて仏教聖地のインドに行った時に食べたカレーが衝撃で」と語るように、彼のカレーの世界への入り口は仏教だ。そのルーツは、店内の至る所に置かれている仏像を見ても明らかだ。
名物の「出汁キーマ」(1,200円、以下全て税込み)は、スリランカカレーをベースに、魚介だしでマイルドに調和をとっている。和食料理人としての店主の経験を生かした和洋折衷の一品だ。盛りたくさんの副菜は見た目の華やかさだけでなく「甘味、酸味、辛みをバラけさせて全体でまとまった味わいに」と、酸味を抑えめで仕上げたカレーを混ぜ合わせることで、さらに味わいの深い奥行きを生み出している。
プラス300円で、日替わりの辛口カレーと合いがけもできる。濃厚でコク深い「龍の卵」やパリパリ食感の「パパド」など、6種類のトッピングから自分好みにチューンナップできるのも「虹の仏」の楽しみの一つ。夜は、グリーンチリを使ったベンガルオムレツやインドの天ぷらバジャなど、「酒泥棒」なスパイシーなアテをさかなに、酒をたしなむこともできる。グラスでのナチュールワインが種類豊富なのもがうれしい。
店があるのは、日本最古の仏教寺院である四天王寺のすぐ近く。きっとスパイスの「極楽浄土」へ連れて行ってくれるはずだ。