松屋町の古い町屋をいかして造られた複合施設「れん」。大阪市の中心地にありながらもゆったりとした時が流れるその一画に、クレープ屋兼カフェの「囲茂庵」がある。見えるのは、童心にかえって「クレープくーださい!」と店頭で言いたくなるような、木枠の小窓。丁寧に1枚ずつ焼き上げられていく数分間は、現代には珍しく待つことを愛おしく感じられる時間といえる。
聞けば、店主は元々は若者の街・アメリカ村でクレープ店を営んでいたそう。生地だけでなく生クリームやカスタードも手作りのクレープは500円(以下、全て税込み)からで、定番の「生チョコバナナ」も550円で楽しめる。
イチゴやクリなど、旬のフルーツを使用した季節限定のクレープも人気が高い。しっかりとボリュームがある一方で、生クリームはふんわりとした軟らかな甘さが特徴的。30年以上たった今でも、アメリカ村時代の客が「やっぱりここのが一番」と訪れてくるというのも納得だ。
自家製の梅シロップで作る「梅ソーダ」(700円)など、店内で食べられるフード&ドリンクメニューも充実している。おすすめは「ハッシュドビーフライス」(サラダ付・800円)で「子どもを連れてきても食べられるように」という言葉通り、丹精込めて作られた優しい味わいが体に染み渡る。まるで理想的な実家のように、ホッと一息つける空間が都心にあるのはうれしいことだ。