2022年に創業100周年を迎えたオムライス専門店。創業当時は「パンヤの食堂」という洋食店だったが、創業者であるシェフが常連客のためにケチャップライスを薄焼き卵で包んで提供したことがきっかけで、オムライス発祥の店として全国に知れ渡った。
京阪神に15店舗を展開する中でも、本店は一風変わった店構え。本格的な数寄屋造りの建物で、中央にある小さな日本庭園を囲むように座敷が配置されている。元々は茶屋だった建物を改装したもので、往時の意匠を生かした純和風の空間で洋食を味わう不思議なひとときが気分を高揚させる。
一番人気のメニューはスタンダードな「チキンオムライス」。具材は鶏肉、ライス、卵と至ってシンプルだ。鶏肉と一緒に炒めたライスに醤油と日本酒を少量加え、ケチャップはほんのり色付けする程度。卵はたっぷり2個分を使用し、味付けはなし。職人技で素早く包み込み、仕上げに特製トマトソースをかければ完成する。
卵の表面は見とれるほどきれいな焼き色で、内側はとろりとした半熟。一粒一粒にうま味が絡み合ったライスは、口の中でパラリとほどける。じわじわと甘味が広がるトマトソースとも相性がいい。皿に添えられた甘酢ショウガの爽やかな酸味と辛味が口直しに最適だ。
ほかにも、期間限定など約15種のオリジナルオムライスを用意している。サイドメニューの「唐揚げ」も隠れた名物なので、ぜひオーダーしてほしい。