大阪・岸和田が世界に誇るファッションデザイナー姉妹といえば「コシノ三姉妹」だ。2019年3月、彼女たちが育った家が、誰もが気軽に立ち寄れる食堂に大変身した。その名もずばり「アヤコ食堂」。三姉妹を育てた母の小篠綾子の名前を冠しただけあって、「お母ちゃん」の愛情が感じられるような温かい雰囲気の店である。
定食はメインを肉か魚から選ぶスタイルで、取材日のメインは「鮭の塩焼き」か「つくねハンバーグ」だった。価格は小鉢の数によって変わり、一番手頃な「梅」が3種類付きで940円(以下全て税込み)。小鉢には、小篠家の食卓によく並んでいたという「鰯の炊いたん」や「玉子焼き」のほか、日によって変わるが、「肉じゃが」や「ほうれん草のおひたし」といった体にうれしい家庭の味が並ぶ。
定食以外には、牛すじと糸こんの入った「だんじりカレー」(酢キャベツ付き、940円)、日替わりの弁当(600円)もある。
2階はギャラリースペース(食事客のみ入場可)になっており、実際に使用されていたミシンやそろばん、思い出の写真などが展示されている。母と三姉妹の軌跡をたどれば、食事のおいしさもひとしおだろう。
店内では、グリルの上で魚が焼ける音に炊飯器や冷蔵庫を開閉する音が聞こえる中、かっぽう着を着たスタッフがかいがいしく動き回る。「お母ちゃん、おなか空いたぁ〜」と心の中で言いながら、いつでも帰ってきたい。