ミナミのメインストリートの一つである心斎橋筋商店街。以前から百貨店やハイブランドの路面店が並ぶ商店街の向かいのエリアへ、1970年代後半に生まれたのが、若者のエリアであるアメリカ村(通称・アメ村)だ。大阪の老舗レコード店「KINGKONG アメリカ村本店」はここに1979年に創業し、街の顔となり変遷を見守ってきた。
今では、アメ村に店を構えるレコード店も数えるほどになったが、オールジャンルのレコードを取り揃える店として普遍の存在。場所だけで言えばアメ村内で移動はしたものの、下は小学生から上は80代の大先輩までこの店へ通う様子は変わらず、ストリートの住人たちから愛されている。
レコードとCDを合わせれば、店内に並ぶのは約5万枚。大きく分けると16ジャンルの棚には、週に250〜300枚、月にすれば1000枚ほどの新商品が届き、そのほとんどがもちろん一点もの。ディグらずにはいられない。なかでもCLUB MUSICやHIP HOP、ROCK POPSが多いのはアメ村住人たちからの買取商品も多い所以だ。コロナ禍以前は海外のレコード店から仕入れに来た客も多かったと言う。レコード愛好家はもちろん初心者だって、この世界の広さを前にレコードの魅力に浸からずにはいられないだろう。
店主の回陽健太は、初代オーナーの息子。「この街に残り続けている店として、父が始めた初期の頃の雰囲気や、昔からの“レコードを探す楽しみ”を変わらず感じられる場所でいたい」と語る。アメ村の現在を、ここで見て聞いて感じてほしい。