どんな商品でもワンクリックで家に届く時代。小さな画面内での買い物に慣れてしまった私たちを、圧倒的な商品数で出迎えてくれるのが、千日前道具屋筋商店街にある厨房(ちゅうぼう)機器・調理器具専門店「ゑびすや金物店」だ。
シンクに鍋、コーヒーメーカーに掃除用具……。商品数は2万点、取り扱い点数で言えば10万点を超える。店内に足を一歩踏み入れれば、ズラリと立ち並ぶ商品の迫力に息を呑むだろう。100点満点のスマイルで「店を開業するのに必要なものは全て揃います」と取締役の柴田昌功が言う通り、1938(昭和13)年に創業してから変わらずプロの面々に愛されてきた。一般客ももちろん購入できる。
ジャングルのような店内はブラブラしているだけで楽しいし、ユニークかつ実用的なグッズは土産にもぴったりだ。売れ筋は手の熱が伝わることでアイスクリームを食べやすくしてくれる「アイスクリームスプーン」(566円、以下全て税込み、取材時)や、かゆい所に手が届くようなキッチングッズ「カボチャピーラー」(815円)、「にんにくスライサー」(492円)などだ。
ネットショッピングにはない楽しみと言えば、やはり接客だろう。目の前で繰り広げられる「THE・大阪なボケ&ツッコミ」の応酬に、店内は笑いが絶えない。ハケを探している客には、2代目社長が「誰がハゲじゃ!…こちらです」と案内する鉄板ネタも。 そんなゑびすや金物店が今後目指しているのは「Amazon Go」のようなレジなしの店舗だという。理由は「接客だけに集中するため」。
さらなる接客の集中砲火を浴びられるとなれば、「なんばグランド花月」と並ぶ新たな大阪のエンタメスポットになる日も近いかもしれない。