南海電鉄高石市駅から徒歩約6分。住宅街の中にある整備された公園の眼前に浄土宗の寺、「城蹟山無量寿院専稱教寺」(通称「専稱寺」、せんしょうじ)がある。ここには元々、鎌倉時代後期に「綾井城」という名の城が建てられており、「岸和田城」と縁の深い場所だったそうだ。しかし、織田信長から豊臣秀吉の世に移った頃攻め落とされ、廃城になった。その後1544年、玄誉上人によって同寺が建立され、現在まで続いている。
四方にあった堀は今では門前のみになってはいるものの、城があったことを思わせてくれる。堀に架けられた橋を渡り、境内に入れば、1990(平成2)年に新しくなった本堂だ。本堂内では建立時から同寺にある阿弥陀(あみだ)如来像のほか、法然上人、善導大師の仏像を観賞できる。
本堂から続く隣の部屋には、本堂のものとは別に室町時代と江戸時代に作られたといわれる阿弥陀如来の仏像が2体ある。そのうち江戸時代のものは、大みそかに鐘堂に移され、檀信徒らが除夜の鐘を突き始める際に拝むのだとか。