大阪といえば「粉モン」だが、ソースは脇役として考えられがち。そんなソースと真正面から向き合っているたこ焼き屋が昭和町にある。店内に入ると目に飛び込んでくるのが、ズラリと並んだソースのボトル。大阪で作られている全ての「地ソース」をたこやきソースとして提供し、かつボトルでの販売もしているという唯一無二の店だ。
大きめのたこ焼きは6個390円(税込み)から。ソースは1人2種類まで好きなものを選べる。ソースの特徴が書かれたメニューボードは、まるでアイドルのプロフィールのよう。
ラインアップは日本一おいしいソースに選出された「ツヅミ」の「いちじくソース」や、「和泉食品」の柑橘をベースにした爽やかな「ゆずソース」など。ボードには「廃業の危機を逃れたドラマチックなソース」などという文言もあり、読んでいるだけでも楽しい。
とはいえ、地ソースの販売許可を得るまでは長い道のりだった。ソース会社の社長から「通常ソースは企業秘密。大っぴらにすれば家で作れるので客は来なくなる」と言われたこともあるという。ソースにこだわる理由を店主に聞くと「明らかにおいしいから」と一言。「どうせ全部一緒でしょ、と思ってる人に面白さを伝えたい」と目を輝かせる。
ソースが変われば、たこ焼きの味もガラリと変わる。一口食べれば、きっと意味が理解できるだろう。ぜひとも大阪の地ソースの奥深さを体験してほしい。