天王寺駅に直結した「ヴィアあべのウォーク」の1階にある、立ち飲み屋「他所酒(ヨソザケ)」。カウンター中心の小さな店は、「サク飲み」に一人飲み、常連客に初めての人も吸い寄せて、いつもにぎわいを見せている。
ホワイトボードには地酒の名が連なり、1杯380円(税込み)からという破格で楽しめる。60ミリリットルのグラスなので、土地ごとの味わいを試せる絶好の機会だ。日本酒ファンが目を輝かせるような、レアな日本酒にも出合える。これを目当てにのれんをくぐる客も多い。通でなくとも、つまみに合う日本酒を聞けば、相性抜群の酒を提供してくれるだろう。
日替わりのあては、新鮮な魚の刺し身から揚げ物まで揃う。ネギぬたや、関西では「タイの子」と呼んで親しまれているスケソウダラの卵巣、おでんをはじめ、左党が思い浮かべる品々が季節に合わせてメニューに並ぶ。これらもまた、200〜300円台と良心的な料金設定。気取らないカジュアルな雰囲気も手伝って、人気店にならないわけがない。
他所酒は、向かいにある、1938年創業の老舗居酒屋「明治屋」の2号店だ。90年近く客を魅了してきた、丁寧な仕事ぶりは、同店にもしっかり引き継がれている。