楠本:みなさん、こんにちは。はじめまして。カフェ・カンパニーというか、一応カフェをやっております。会社自体は2001年に創業しましたが、僕自身は1995、96年からなんとなく飲食店を始めました。97、98年くらいに渋谷と原宿の間にあるキャットストリートというところで、木造アパートを改装してカフェにしたり、そこにクリエーターと一緒にアートギャラリーをつくったり。そんなことを始めたのが、僕とカフェとの出会いです。
『世界目線で考える。』というタイトルになってますけれども、そんな恐れ多いことをやろうと思ったわけではなく。まず僕の学生時代のことを話すと、お店のプロデュースを手伝ったり、ショーパブで働いたり、ブルースのライブハウスで歌ったり、いろんなことをやってました。そういう経験を通して、「場」の持つメディア性というかエネルギーというものを感じました。人がシンクロして共感しあったときにすごい強いパワーが生まれるなと。だから、僕は飲食業をやりたかったっていうより、人が集う場をどういうふうにつくるか、それこそが地域を元気にすることじゃないかっていうふうに思い始めたのが、今に繋がっているんだと思います。
当たり前じゃねえかって思われるかもしれないですけど、僕の学生時代はちょうど85年のプラザ合意があって、急激な円高とグローバルマネーが日本に入ってきた頃でした。日本の地価がバンバン上がって、日本の土地は下がらないって信じられてた時代でした。買って売ったら利益が上がるのは当たり前みたいな。ただ、僕は「そんなわけなかろうもん。もっと人が集まるみたいなことが本質じゃないか」と思い始めたのが、創業のきっかけです。だから、チェーンストアオペレーションのお店にも興味はありませんでした。1個1個地域を作っていく、土地の記憶を大事にして、その地域の表情を、カフェっていう風景をつくることによって盛り上げていこうみたいな、ことを考えました。
現在、社員は300人弱くらいになりました。店舗数は3月で100店舗になろうとしております。ただ「目指せ何百店舗!」みたいなふうには全く考えていません。なるべく1個1個、カスタムメイドでカフェをつくろうと思って、がむしゃらにやってたらこんなふうになっちゃったっていう、全く無計画な会社でございます(笑)。
カフェ・カンパニーには、「Community Access For Everyone(=cafe)」という造語があります。僕たちのライフワークは、とにかくコミュニティをつくることです。さっきも申し上げましたが、飲食店の役割は地域の表情をつくることだと、1にも2にも思っています。そういった化学反応を起こす場所、それがすなわちカフェであるということです。
「カフェのある風景をつくることで、感性豊かなライフスタイルを創造し、活き活きとしたコミュニティ型社会を実現する」(スライドより)こんなことを創業の時から言っておりましたが、なんとなくそんな時代になってきたかなっていうふうに思います。お隣にいらっしゃる岩佐さんのご活動をめっちゃリスペクトしてるんですけど、そういう地域の魅力をみんなで盛り上げていこうっていう、ある種の社会運動みたいになっていくんじゃないかなって思って創業しました。そして今では僕の想像を越える勢いでどんどん「だよね!」っていう感じになってきて、楽しいなと思っています。