ーこれまでで最も政治的な映画ということですが。
そうだね。脚本を書き始めた時には、考えていなかったけど。これまでに多くの作品で、多少なりとも黒人と白人についてを描いてきた。アメリカの黒人と白人にまつわる問題や人種紛争を描くことで、自分は西部劇のジャンルに貢献しなければならないと思っている。少なくとも有意義なかたちでは、過去に誰も成し遂げていないからね。
ーアメリカの人種問題を追求するために、映画『ジャンゴ 繋がれざる者』に続き、西部劇を選んだのはなぜですか。
西部劇は、製作された時代が明確に描かれる。1960年代後期から1970年代にかけての西部劇には、ベトナム戦争やウォーターゲート事件の影響が見られるように。そういう西部劇の大ファンなんだ。だから、作品では、アメリカの時代精神を描くことは欠かせない。今から10年後や20年後にこの映画を観ても、きっと当時のアメリカが抱えていた問題を的確にイメージできると思うよ。
ー計10作品を撮影したら引退すると表明していますが、本作は8作目になります。その考えは変わりませんか。
そういうアイデアだよ。僕は1作品を作るのに大体3年かかるから、あと10年近くはあるね。