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昔ながらの喫茶店やカフェはもちろんだが、海外からの上陸を果たした人気コーヒーショップや洒落たコーヒースタンドも続々と登場し、東京だけでも数多くのコーヒーを楽しめる店が存在する。淹れ方や豆にこだわった本格的なコーヒーをテイクアウトすることもたやすく、缶コーヒーやあらかじめパックに詰められたものではない、淹れたてのコーヒーを移動中に手軽に楽しめるのも嬉しい限りだ。コーヒー片手に歩いている人を街中で見かけたことがある人も多いだろう。そんなコーヒーに対して日本茶はどうであろうか。もちろん、カフェやレストランで提供されていたり、家で楽しんでいる人、もしくは自分自身で点てているなんて人もいるかもしれないが、街中で見かけるテイクアウトカップの中身が日本茶だということはそうそうないはずだ。しかし、吉祥寺エリアでは淹れたての日本茶とともにショッピングや散策を楽しむ人を今後見かける機会が増えてくるかもしれない。それは、バリスタならぬ「茶リスタ」までもを常駐させたUNI STANDが2016年3月5日(土)、井の頭恩賜公園内に位置する三鷹の森ジブリ美術館近くにオープンしたからだ。
自らを「茶リスタ」と呼ぶ、この人物こそが同店の店主。もともとはバリスタに憧れを抱き、コーヒー店巡りなども行っていたという。昔から物凄く日本茶に興味があったというわけでもないが、コーヒー店巡りをした際に「コーヒーの店は数多く存在するのにお茶を提供する店はあまりない」ということに気がついたことをきっかけに日本茶に興味を持つようになっていったそうだ。それ以降は、セミナーなどにも通って日本茶の淹れ手を志すように。「茶リスタ」とは、かつて彼が憧れていたバリスタと茶を組み合わせた造語だが、今ではイベントへの出演や主催のワークショップなどを通して、日本茶の魅力を伝えるのとともに、この「茶リスタ」という言葉もじわじわと広げている。
店内ではコーヒーも提供されているが、せっかく同店を訪れたならば「茶リスタ」によって手がけられている日本茶を堪能しよう。一押しメニューは、店内で点てられた抹茶を使用する『宇治抹茶オレ』(ホット520円/アイス560円)。砂糖をほとんど使用していないという『宇治抹茶オレ』は、ほろ苦く上品な抹茶本来の味を楽しむことのできるドリンクだ。牛乳で抹茶の苦味が緩和されるので、『宇治抹茶』(ホット480円/アイス520円)だと苦過ぎるという人にもおすすめ。このままでも美味しく味わうことができるが、もし途中で甘さが欲しくなったらガムシロップを追加してみよう。一般的に『抹茶オレ』と呼ばれるものにシロップが使用されているからか、品のある甘さは残しつつも、馴染みのある味わいに変化させることができる。
ほかにも、月替わりで提供される『日本茶(シングルオリジン)』(ホット480円/アイス520円)も見逃せない。店主が茶農家と直接やりとりをして選んでいるという茶葉は、いずれも農家自身が作っている一切ブレンドされていないものだ。香りの良さにも重点を置いて選んでいるようで、今月提供されている静岡県清水区産の『香駿』も、飲んだ瞬間に鮮やかな清々しい香りが鼻を抜ける一品だった。さらに、茶を淹れる工程にまでも一切の抜かりがない。まずは急須に茶葉と氷水を入れて茶葉を開かせる。次にその氷水を熱湯が入った器に注ぐ。そして氷水を注いだ熱湯を湯が溢れない程度に急須に戻す。この熱湯に注いだり急須に戻したりという工程を3回ほど繰り返して味の調節をしているのだ。茶葉選びから淹れ方まで、かなりのこだわりぶりである。
これまでありそうでなかった日本茶を提供するUNI STAND。淹れたての茶や点てたての抹茶を肩肘張らずに気軽に味わえるとあって、日本茶好きはもちろん、日本茶に興味を持ち始めたという人にもぜひ勧めたい店だ。桜の季節は終わってしまったが、これから夏、秋にかけても井の頭恩賜公園は絶好の散歩スポット。テイクアウトも可能となっているので、夏は冷たい日本茶、そして秋は温かい日本茶を片手に、ぜひ公園や吉祥寺エリアの散策を楽しんでみてほしい。