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天王洲アイルに、建築模型を展示する、建築倉庫ミュージアムがオープンした。手がけたのは天王洲エリアで保存、保管事業を展開する寺田倉庫だ。一口に建築模型と言っても、ここで見れるのは日本の建築家による建築模型のみ。隈研吾、坂茂、山本理顕、トラフ設計事務所など、まさに日本建築界のスターたちの名前が並ぶ。オープンしたての同ミュージアム、その全貌をレポートする。
展示スペースには、天井まで4mはあるかと思われる棚がずらりと並び、ちょうど目線の高さに建築模型が展示されている。すべての作品が撮影可能なのは嬉しい(フラッシュ撮影は禁止)。オープン初日には建築を学んでいると思われる学生が多く見られ、ありとあらゆる角度から模型を撮影し、食い入るように観察していた。
展示されているのは、実在する建造物の模型のほか、建築家がコンペなどに出展したものもある。これまで建築模型は海外流出や破棄されるなど、日本国内ではあまり重要視されてこなかった歴史がある。館長の徳永は、広く国内外の人々に建築倉庫ミュージアムを通して日本の建築の質の高さを知ってもらいたいと語った。
棚の上下には、模型が収められていた箱も一緒に展示されている。徳永いわく、建築のコンペなどではクライアントの手元に模型が届けられ、その箱を開けたときの第一印象がとても大事なのだそうだ。そのため、箱にも期待感が増すような工夫をしている建築家が多いという。模型をつぶさに観察するのもいいが、少し視線を上げて箱にも注目したい。
出口手前には、模型がライトに煌々と照らされていたエリアとは打って変わって、照明が一段落とされたエリアがある。建築倉庫が保管する模型を独自のキュレーションで展示する空間だ。現在は片山正通率いるWonderWallの特集が展開中。模型内には明かりが灯り、よりリアルな目線で建築を見ることができるだろう。
毎日のように新しい店がオープンし、イベントが開催されては消えていく東京は、世界一スクラップビルドが激しいといっても過言ではない。それはまたこの国にも言えることかもしれないが。常に東京の最新情報を追いかけていると、それは強く感じることだ。ミニチュアスケールの建物群を前に、自宅や駅、オフィスなど、人間にとってなくてはならない「建物」について考えたい。