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芯から冷えるこの季節、都内の喧噪を忘れて癒しの時間を過ごせる温泉を紹介する。前野原温泉 さやの湯処は、戦後間もなくの1947年(昭和22年)に建てられた個人の邸宅を改装した、風情漂う温泉施設だ。2015年12月8日にリニューアルオープンしたと聞き、タイムアウト東京編集部は同施設を訪れた。
さやの湯は、空き家となった精密金属材料メーカー創業者の住まいを改装し2005年にオープンした。再生をサポートしたのは古民家再生などを多く手がける建築家の降幡廣信だ。イタリア大理石の暖炉や、波打つ昭和ガラスなど当時の調度品をそのまま残し、修復が必要な部分には手を入れ、新旧のバランスがとられている。
今回のリニューアルでは、休憩スペースを広くするなどのメンテナンスが行われた。新たに加わったのは、「離れの湯 燈」と名付けられた檜でできた貸し切り風呂。女湯の裏側に位置し、プライベートな空間で気心の知れた友人や家族と入浴することができる(東京都の条例により10歳以上の男女混浴は不可、1時間1枠2,000円)。また、血行を良くし、デトックス効果も高い高濃度炭酸泉が導入された。
同施設の魅力といえば、東京都内では珍しいうぐいす色のにごり湯の源泉温泉だ。日により異なる表情を見せる湯は、加水や循環濾過、薬剤の投入はせず、源泉井戸から直接浴槽に注がれている。入浴してみると、温度は思ったよりも高くなく、ゆっくりと長風呂ができるくらいの心地良さだ。そして、塩分濃度が高いため、風呂から出ても身体は温まったままなのも特徴だそう。
そのほかにも、白湯、腰掛湯、各種ジェットバス、ドライサウナ、スチームサウナ、岩盤浴を堪能できる。岩盤浴は、春、夏、秋、冬と名付けられた部屋に分かれ、苔庭を眺めながらのんびり過ごせる休憩スペース「春」、ブラックゲルマニウムなどを使用した遠赤外線放射線率が高い「夏」、薬宝玉石を使用した肌に優しい中温の「秋」、クールダウンできる「冬」と、3種類の岩盤浴を楽しめる(岩盤浴利用は別料金)。
そして、家屋を改装した食事処柿天舎(してんしゃ)では、毎日手入れを行っているという枯山水の苔庭を眺めながら、国産そば粉を粗石臼で挽いた打ちたて蕎麦や、四季折々の厳選された食材を使った料理を味わうことができる。また、庭に面した「桜の間」と「万年青の間」と名付けられた個室も2部屋あり宴会としてや個人で利用できるのも嬉しい。
「癒し」をテーマとしたさやの湯は、歴史や、季節感を感じられる贅沢な場所であった。仕事帰りでも気軽に訪れることのできる本格派温泉で心から癒される時間を過ごしてほしい。
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