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あの「妄想インドカレー」が期間限定で店を構え、高円寺に出現中

テキスト:
Shiori Kotaki
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知る人ぞ知る「妄想インドカレー」が今、高円寺に出現していることを知っているだろうか。これまでは、イベントなどのケータリングとしてカレーを提供していたネグラのことを、クラブイベントや音楽フェス、フードイベントなどで見かけたことがある人も多いかもしれない。そのカレー屋が高円寺に店を構えているのだから、そこで味わったカレーの味が忘れられなかった人、このカレーに魅了されてしまったという人には嬉しい知らせに違いないだろう。そして、さらに「妄想インドカレー」ファンを喜ばせるであろう情報がもう一つ。なんと、カレーは日替わりで提供されるのだ。ここでは、期間限定で高円寺に登場している、東京中のカレー好きを喜ばせるであろう店、ネグラを紹介する。

正確に言うと、鍋が空になったら新しいカレーを作るというスタイルのため、朝と夜でカレーが変わることもあるそう。もともとカレー好きだったという店主が作るのは、一瞬で魅了されてしまったという南インドカレーだ。しかし、実際にはインドに行ったことはないため、「妄想インドカレー」という名の通り、あくまでも妄想で作られたカレーが提供される。南インドカレーは、我々がイメージするカレーに比べるとさらっとしており、ナンではなく米と一緒に味わうのが特徴的。また、ルーの上には副菜がトッピングされており、ルーと副菜をかき混ぜて味の変化を楽しみながら食べることもできる2度も3度も美味しいカレーなのだ。この日提供されたのは、『ワカメとハマグリのカレー』と『豚軟骨を使用した香酢のビンダルカレー』、そしてその上に『人参のラペ』と『トマトのモーリョサラダ』がトッピングされたプレートだった。

1,000円

カレーは、基本的に2種類のカレーの合いがけで提供。いずれも、唐辛子が異様に効いた、ただただ辛いカレーではなく、スパイスの味わいがしっかりと感じられるカレーだ。また、トマトベースのビンダルカレーだから副菜にもトマトを使用するなど、カレーに合わせた副菜を用意してくれるのも嬉しい。「スパイスには目がないんです」という言葉の通り、店内にずらりと並ぶのは国内外問わず集められた数々のスパイスたち。栽培されたものではなく自生した野生のスパイス好きとのことで、なかには、手摘みで収穫されたマダガスカルの「ペッパーキャビア(野生のコショウ)」など、珍しいスパイスや貴重なスパイスも多数揃っている。店に立つ2人もかなりのスパイス好きなので、スパイス好きであればカレーそっちのけで話し込んでしまう、なんてこともありそうだ。

店内ではスパイスの調合も。「おにぎりに合うスパイスを調合して」など、可能な限りリクエストにも応じてくれる。

貴重なスパイスは、カレーだけでなく副菜にも惜しみなく使用されている。今回提供された『人参のラペ』に振りかけられているのは、パキスタンの村の奥でしか取れないという野生のクミン。秘境と呼ばれるところでしか手に入らないため、基本的には現地の人が使用しているスパイスだそうだ。同じ野生のクミンでも、市街地に出回っているクミンはものが違い、日本では手に入らないスパイスのため現在残っているものを最後にしばらくは提供が難しいとのことだ。

 

こだわり抜かれたスパイスを使用し、妄想と言いながらも本格派のカレーを1,000円で提供してくれるとはなんとも嬉しい話。しかし同店では、カレーが提供されるまでに40分から1時間かかるのは当たり前のことなので、時間がたっぷりあるときに訪ねるのがおすすめだ。そして、それでもまだ時間に余裕があったら、ぜひ同店特製のチャイも味わってほしい。

チャイももちろん妄想。ブレないところが良い

スパイスを潰す専用の器具を使用し、一から作られているこちらのチャイは、「カレーのようなチャイだ」と言われることも多々あるという甘さ控えめのチャイ。この器具を使って目の前でスパイスが潰されると、ここが高円寺だということを忘れてしまうような、まるで異国にいるような感覚さえも覚える。もう少し甘さがほしいという人は、黒糖に似たインドの砂糖「ジャグリ」と一緒に味わうと良いだろう。

席数わずか6席という、こじんまりとした店内。カレー屋でよく耳にするインド音楽が流れているのかと思えば、店内に流れるのはNHK FMで、優雅なクラシックや歌劇までもが流れ出す。しかし、本格的なカレーを提供しつつも、このカレー屋感のなさ、型にはまっていない感が良い。客に対して「冷蔵庫からビール取って」などといった会話が飛び出すのも、このサイズ感の店だからなのか、どこか落ち着く居心地の良い空間だ。

「決まったものを作り続けるのは面白くない」、「本場のものよりも自分たちが楽しいものを作りたい」と、日々妄想でカレー作りに励んでいるネグラのカレーは、辛さとスパイスのバランスが絶妙。「ほとんどが常連さんです」と語っていた言葉にも納得の、また行きたくなる、クセになる味わいだ。しかし、そんな毎日でも通いたくなる同店だが(実際に毎日通う常連客もいるようだが)、建物の取り壊しが決まっているため、この場所での営業は2016年7月31日(日)まで。残念ながら8月以降の予定はまだ決まっていないようだが、街の規模感や、ケータリング、住人との繋がりもあることから、今後も高円寺で店を営んでいきたいと語っていた。ケータリングとしては、今度も様々なイベントに姿を現わすであろうネグラだが、せっかくならばこの店で、この空気感のなかで「妄想インドカレー」を堪能してほしい。興味を持った人は、ぜひ一度、店に足を運んでみてはいかがだろう。なお、定休日や営業時間などは変わることもあるようなので、訪ねる際は同店の『Facebook』や『twitter』をチェックするのがおすすめだ。

ネグラの詳しい情報はこちら

店内とは一転してトイレはかなり派手

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